アルツハイマー病とうつ病の関係ー2
2024/05/17
アルツハイマー病とうつ病の関係ー2
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
昨日はあざみ野のアリソンハウスカフェでの認知症予防カフェでした。
テーマは「ストレスケアが脳を守る 認知症予防のためのストレスケア」。
参加いただいた方、ありがとうございました。
興味はあったけど、予定が合わなかった方はアーカイブ配信をお待ちください。
またYouTubeにアップされたらお知らせします。
今回は、アルツハイマー病とうつ病の関係の続きです。
前回、書こうとしてほぼ前振り(前提の説明というか用語解説)だけで終わってしまってすみません。
前回の話(https://hetero-clinic.jp/blog/detail/20240514094242/)も参考にしていただけたらと思います。
以前から「うつ病はアルツハイマー病発症のリスクファクターである」ということは報告されていました。(Depression and risk for Alzheimer disease:systematic review, meta-analysis, and metaregression analysis. Arch Gen Psychiatry, 63:530-538. )
そして、最近の研究で大脳皮質にアミロイドベータの沈着がある人ほど
孤独感や寂しさを強く感じており、その後の経過で抑うつ症状がより増悪するということが報告されました。(Donovan NJ, Okereke OI, Vannini P, et al(2016) Association of higher cortical amyloid burden with loneliness in cognitively normal older adults. JAMA Psychiatry, 73:1230-1237.)
つまり、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドベータが大脳皮質にたまっているから
よりいっそう不安や孤独、寂しさを感じるのか
不安や孤独、寂しさといったものがあるからアミロイドベータが脳にたまりやすくなるのかはわかりませんが、こういった感情とアミロイドベータの蓄積は相関関係にあるということです。
そこから、アルツハイマー病とうつ病に共通する病態があるのではないかという仮説を立てているわけです。
その共通する病態というのが、「慢性炎症」です。
というのも、もともとアルツハイマー病をはじめとした神経変性疾患の病態に「慢性炎症」が関与しているという報告があり、慢性炎症とうつ病の関係の報告も相次いで見られるようになってきたからです。
そして、慢性炎症にミクログリアが関係しているというわけです。
この病態は生活習慣病とも関連性が深いことから日頃の生活を整え、
ミクログリアの機能を正常に保つことが認知症予防にとっても重要なのです。
論文では、ミクログリアを標的とした(ミクログリアを保護する)治療薬を望む言葉で締めくくられていましたが、まずは日頃の生活習慣の改善こそ大切かと思います。
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認知症については、過去のブログ記事も参考にしてください。
- 認知症とは
- 認知症の原因 薬剤誘発性認知症
- 認知症の症状 その1
- 認知症の症状 その2 中核症状 記憶障害
- 認知症の症状 その3 加齢による物忘れと認知症の物忘れの違い
- 認知症の症状 その4 中核症状 見当識障害
- 認知症の症状 その5 中核症状 判断力低下
- 認知症の症状 その6 中核症状 失語症
- 認知症の症状 その7 中核症状 失行
- 認知症の症状 その8 中核症状 失認
- 【認知症の症状】その9 周辺症状
- 【認知症の症状】周辺症状 失禁・弄便
- 【認知症の症状】周辺症状 徘徊