筋力と舌の意外な関係
2024/04/30
筋力と舌の意外な関係
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
新年度が始まり、1ヶ月が過ぎましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
新しい生活がスタートした方は、少しは慣れてきた頃でしょうか?
ちょうど疲れがたまりやすい時期かもしれません。
新しい生活はどうしても食事や睡眠、運動のバランスが崩れがちです。
忙しい中でも心身のリフレッシュを忘れないようにしてくださいね。
さて、今日は先日届いたMEDICAL TRIBUNEの中から気になる話題をお伝えしたいと思います。
口腔衛生学会誌に「舌圧の低下がサルコペニアを誘因」という論文が掲載されたそうです。
(口腔状態とサルコペニアとの関連についての横断研究 2024 年 74 巻 1 号 p. 21-28)
これだけだと、だから何?という感じかもしれませんが、
サルコペニア(筋肉量・筋力低下)は、認知症と深くかかわっています。
こちらは、過去のブログを参考にしてください。
この論文の話に戻りますが、
こちらは2022年10月~23年6月に岡山大学病院歯科外来を受診した60歳以上の患者50例に対して行っています。
サルコペニアの評価は、Asian Working Group for Sarcopenia 2019 (AWGS2019)
判定指標は、筋力、身体機能、骨格筋量。
栄養状態の評価は、簡易栄養状態評価法 (MNA)を用いたそうです。
その他の詳細は省きますが、そこで分かったのが、
舌圧が低いほど栄養状態が不良で、栄養状態が悪いほどサルコペニアが重度であるということです。
つまり、「舌圧の低下が栄養状態の悪化につながり、サルコペニアを引き起こす可能性が示唆された」というのです。
では、舌圧とはなんでしょう。
舌圧とは、舌が上あごに接触する力です。
舌は筋肉でできた組織なので、歩かなければ足の筋肉が弱って歩けなくなるのと同じで、
舌をあまり動かさなくても食べられる軟らかいものや、ツルッと飲み込めるような食事ばかりとっていると、舌圧は低下します。
舌圧が弱いと舌の運動機能が低下するので、「噛んで飲み込む」という一連の動きに支障が出ます。
食べ物を一気に食道に送り込めなくなるので、上あごや喉の奥に食べ物が残ることがあり、
これが食道ではなく気管に入ってしまうと、むせたり誤嚥性肺炎の原因にもなったりします。
最近は、現代の食事の影響で、若い人にも舌圧が低い人が見られるそうです。
そういう若い人の中には、「むせる」「飲み込みにくい」という自覚症状のあるという報告もあります。
では、どうしたらよいのかというと、先ほどもいったように舌も筋肉なので、
よく使って鍛えればいいわけです。
舌圧を鍛えるグッズもあるようですが、カラオケやコーラスで歌ったり、おしゃべりしたりすることも効果的です。
気になる方は試してみてください。
ヘテロクリニックでは、オンライン相談を受け付けています
お身体について、認知症介護についてお悩みの際には、ご利用ください。
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認知症については、過去のブログ記事も参考にしてください。
- 認知症とは
- 認知症の原因 薬剤誘発性認知症
- 認知症の症状 その1
- 認知症の症状 その2 中核症状 記憶障害
- 認知症の症状 その3 加齢による物忘れと認知症の物忘れの違い
- 認知症の症状 その4 中核症状 見当識障害
- 認知症の症状 その5 中核症状 判断力低下
- 認知症の症状 その6 中核症状 失語症
- 認知症の症状 その7 中核症状 失行
- 認知症の症状 その8 中核症状 失認
- 【認知症の症状】その9 周辺症状
- 【認知症の症状】周辺症状 失禁・弄便