安心を守る、見守りの翼 ― 徘徊への対策
2024/04/16
安心を守る、見守りの翼 ― 徘徊への対策
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
急に暖かくなってきましたね。
昨日は札幌でも夏日だったとか。史上最速だそうです。
急な気温の変化に体がついていかない。。。という人もいるかと思いますが、
そういう時は自律神経を整える意味でも呼吸を意識するといいですよ。
さて、今日は春に多いとされる認知症の問題「徘徊」についてお伝えしていきたいと思います。
「徘徊」とは目的もなく、ただうろつき回ることです。
ただ、それは周りから見てそう見えるだけで、ご本人にとっては理由も目的もあります。
なので、なかなかその行動を止めるのは難しいのが現状です。
認知症の人の数が増えてきている昨今、徘徊による行方不明が社会問題となってきています。
私が住んでいる鎌倉でもよく行方不明者の捜査協力の無線が流れています。
警察庁の調査によると、認知症で行方不明になった人の数は、2022年には全国でのべ1万8,709人にもなるそうです。
これは、統計をとりはじめた2012年と比較すると10年でほぼ2倍に増えている結果となっています。
そして、残念ながらそのうち491人の徘徊中にお亡くなりになっているそうです。
この数は、警察に行方不明者届が出された人に限定されているので、
実際にはもっと多くの人が行方不明になっているのではないかと考えられています。
さらに、2016年の桜美林大学老年学総合研究所の調査では、
行方不明から5日間経過すると生存率が0%となるという結果も出ています。
生存していた場合でも、自宅から遠く離れた土地で発見されたり、
本人が住所な身元を伝えることができず身元不明者とされているケースもあったそうです。
また、踏切事故や交通事故に遭う例や、
徒歩ではなく自転車や自動車で出かけ、他人を巻き込んで事故を起こしたケースもあるようです。
冒頭で、ご本人にとっては理由があるということをお伝えしましたが、
その理由は、私たちが歩き、外出する理由と全く同じものです。
例えば、
- ご自宅から「家に帰る」といって外出し、その「家」の場所がわからず歩き続ける
- 近所のスーパーに出かけて行ったはずが、何時間も歩き続けている
そのため、ご本人に歩く能力がある限り、徘徊と呼ばれる症状は誰にでも起こる可能性があります。
実際、東京都健康長寿医療センターが行った「認知症による行方不明の研究」によると
「行方不明者には中等度以上の認知症が多いが、家族からみて軽度、あるいは認知症とは思えない状態であっても、行方不明になることがある」そうです。
ちなみに、ここでいう「行方不明」とは、高齢者が1人歩きをして、家族や介護サービス担当者などがその居場所を把握できなくなった状態のことです。
徒歩に限らず、自転車や自動車、バスや電車などを利用することもあり、家族が同居していても、一瞬目を離した隙にいなくなることもあります。
東京都健康長寿医療センターでは、徘徊の対策として
- 行方不明はいつ発生するか分からない
認知症の症状が軽かったとしても常に行方不明になる可能性について念頭に置く
2. 事前の対策が重要
★一人で外出する気分にならないような工夫
- 趣味や仕事を見つける
- 適度に運動する
- 体調や生活リズムを整える
★一人で外出するリスクを減らす工夫
- いっしょに外に出る
- 安全に出かける先を持つ:デイサービス、地域の憩いの場
★徘徊に備える
- 徘徊のタイミングを知らせる:センサー、ドアベル、本人の興味をひくものを玄関に置く(立ち止まってもらう)
- 早期発見の工夫:本人の行動パターンを知る、連絡先を記載したネームプレートの利用、GPS装置の利用、捜査の準備(本人の顔写真・当日の服装のメモ)
★地域との連携
- 立ち寄る可能性のある店舗や、駅などの交通機関を事前に知っておく
- 行方不明者を発見保護するSOSネットワークなどの活用。地域包括支援センターへ相談
- サービスを利用している事業所やケアマネジャーに前もって相談する
3. 行方不明になったときはどうすれば良いか
- 立ち寄りやすい場所やなじみの商店やコンビニ、公園や交通機関をさがす
- 迅速に警察に連絡する
- 地域包括支援センターや担当ケアマネジャー、利用している介護サービス事業所に連絡する
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