【認知症の症状】周辺症状 異食
2024/07/31
目次
【認知症の症状】周辺症状 異食
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
今日は久しぶりに認知症の周辺症状についてお伝えしていこうと思います。
今回の話題は「異食」です。
「異食」というのは、読んで字のごとく、
食べ物ではないものを食べてしまうことです。
ティッシュや消しゴム、植物など何でも口に入れてしまうのが特徴です。
ご本人がはいていたオムツ、手を洗うためにおいてあった液体洗剤、風水のためにおいてあった濃度の濃い塩水などを飲み込んでしまったというケースもありました。
中には、口にすると非常に危険なものもあります。
とはいえ、ご本人にいくら注意を促しても予防するのが難しいのが現状です。
どうしても介護側が注意せざるを得ません。
異食の原因:認知症の中核症状
認知症の中核症状は、脳の神経細胞の減少によって起こる症状です。
中でも理解力・判断力の低下や失認、記憶障害が異食に大きく関わっています。
失認とは、視覚に異常は見られないのにも関わらず、対象を認識できないことです。
失認や記憶障害があると目の前のものが食べ物なのか、そうでないのかの区別ができなくなります。
※失認については、認知症の症状 その8 中核症状 失認を参照ください。
目の前にあるものが食べ物かどうかわからなくても、
口に入れたとき明らかにおかしなにおいや味がすれば「おかしい」と気づき、
吐き出し、飲み込むところまではいかないでしょう。
しかし、認知症の場合、味覚や嗅覚も落ちている可能性があります。
そのため、そのまま食べ物ではないことに気づかず飲み込んでしまうということが起きてきます。
また、いつも食事をとる場所に座っていたため、食事の時間だと思い、
目の前にあるものを食事だと勘違いするということもあります。
異色の原因:空腹
ただ単純におなかが空いたという場合もあれば、認知症によって満腹中枢の機能が低下しておなかが空いている場合もあります。
認知症の方は満腹中枢に対して刺激が入りづらいと言われています。
そのため、食事が終わった直後にもかかわらず、食事をしたことを忘れ、「食べていない」と主張することがあるのです。
このような空腹状態で、そのうえ食べ物と他のものの区別がつかない症状が加わると、異食してしまいます。
異食の原因:不安、ストレス、体調不良
周辺症状全般に言えることですが、症状の出現には患者さんの精神や身体の状態が大きく関わってきます。
環境の変化や体調不良など原因は様々ですが、不安やストレスを感じている場合、異食をはじめとした周辺症状が現れやすくなります。
万全の注意を期しているつもりであっても、
認知症の方たちは、私たちの予期せぬことをしてくることがあります。
こちらの記事が少しでも参考になれば幸いです。
次回は、異食への対処法についてお伝えします。
今日も良い一日をお過ごしください。
異食対策:環境整備
目の前のものを口に運ぼうとする動作がみられたら、極力周辺に物を置かないように注意しましょう。
特に口に入れると危険なものは、手の届く場所や目につく場所に置かないよう工夫が必要です。
万が一、目を離している間に食べ物以外のものを食べると、身体に異常を起こす可能性があります。
たとえば、ふだん何気なく飾っている花なども手の届かないところに置くようにする、
お菓子や薬も、包装紙ごと口に入れてしまう場合もあるので、必要な時には取り出して手渡してあげるなどしてください。
特に本人の寝室などプライベートな空間では、どうしても異食が見られても発見が遅れがちです。
とはいえ、生活に必要なティッシュなどを置かないわけにもいきません。
どこかにしまって必要な時に取り出す、というような対応も必要になってきます。
ただ、収納しておいても開けてしまい口に入れてしまうことが考えられます。
異食すると生命に関わるようなものは特に、開けられないようにするなど注意するようにしましょう。
他にも、以下の点に注意して環境を整えましょう。
● 落ち着ける空間になっているか:なじみのある家具の有無や音の響きやすさなど
● 寝具が本人に合っているか:枕や布団の柔らかさ、枕の高さなど
● 不安や混乱を招くような物を置いていないか:消化器など
● 物が散乱していないか:物の散乱によって動線を妨害したりしていないかなど
● 照明の明るさは適切か:明るすぎたり暗すぎたりしないかの確認
このような工夫をすることで、認知症者の精神状態を安定させ、異食を抑える可能性があります。
異食対策:食事を小分けにする
認知症になると満腹中枢が障害され、常にお腹が空くということが起こってきます。
それに加え、食事をとったこと自体忘れてしまい、それが原因で異食が起こるということがあります。
そのため、食事を小分けにして回数を増やしてみることで、改善が見られることもあります。
基本的に、一日の食事量は増やさないように注意しましょう。
それでも改善が見られない場合は、医師に相談して一日の摂取カロリーを見直してみるというのも一つの方法です。
食事量を増やしても問題ないと判断されれば、一日の食事量を増やし、異食症が改善されるか観察してみましょう。
生活のリズムを整える
食事をする時間を一定にすると「食事はした」という感覚が生まれやすくなります。
食事の後に行うルーティンを決めると、さらに食事に対する満足感が得られます。
おすすめは、食事の後に必ず歯磨きをすること。
というのも認知症を発症する前も普段行っていた内容で、比較的習慣化しやすいのです。
また、歯を磨くことにより、食事を終えたサインという感覚が残りやすいともいわれています。
さらには口の中を清潔に保つことは、認知症予防にも効果的です。
歯磨きだけでなく、生活リズムを整えることは、認知症の患者さんにとって重要です。
ストレスを減らす
認知症の方は不安やストレスを抱えやすい状況にあるといわれています。
日々のストレスは、異食に限らず周辺症状の悪化につながります。
本人の話を聞いたり、環境や体調面に気を配って原因を探り、取り除く努力をしてみてください。
なるべく理解しやすい言葉を使ったコミュニケーションで、どのようなことがストレスになっているかを聞きましょう。その後は、原因や相手のニーズに応じて可能な範囲で対応をとります。
また、はっきりと原因がわからなくても、介護側が笑顔で穏やかに接することで患者さんが安心し、不安が軽減することもあります。
専門家に相談する
なぜ異食するのかわからない、どう対応していいのかわからないというときには一人で抱え込まず、専門家に相談するようにしましょう。
相談する相手は、できれば、かかりつけの医師や担当のケアマネージャーが望ましいです。
認知症者の状態を把握しているため、具体的なアドバイスを得られます。
常に見守りが出来ない場合には、ショートステイなどを利用するのも一つの方法です。
ヘテロクリニックでは、オンライン相談を受け付けています
認知症介護についてお悩みの際には、ご利用ください。
お申し込みは下記リンクから
https://hetero-clinic.hp.peraichi.com/onlin
認知症については、過去のブログ記事も参考にしてください。
- 認知症とは
- 認知症の原因 薬剤誘発性認知症
- 認知症の症状 その1
- 認知症の症状 その2 中核症状 記憶障害
- 認知症の症状 その3 加齢による物忘れと認知症の物忘れの違い
- 認知症の症状 その4 中核症状 見当識障害
- 認知症の症状 その5 中核症状 判断力低下
- 認知症の症状 その6 中核症状 失語症
- 認知症の症状 その7 中核症状 失行
- 認知症の症状 その8 中核症状 失認
- 【認知症の症状】その9 周辺症状
- 【認知症の症状】周辺症状 失禁・弄便
- 【認知症の症状】周辺症状 徘徊 神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク 認知症ケアのセンサー&アラート
- 【認知症の症状】周辺症状 昼夜逆転 昼夜逆転ー2
- 【認知症の症状】周辺症状 介護拒否 介護拒否-2
- 暴言・暴力
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