【認知症の症状】周辺症状 帰宅願望-2
2024/10/13
【認知症の症状】周辺症状 帰宅願望-2
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
三連休中日、さわやかなお天気ですね。
あちこちでお祭りも開催されているようです。
さて、今日は昨日の続きになります。
昨日は、帰宅願望の原因についてお伝えしました。
本日は、その対処法についてお話していきたいと思います。
帰宅願望への対処法
昨日も触れましたが、帰宅願望の根底には不安があります。
そのため、その対処は本人が感じている不安や混乱を和らげ、安心感を与えることが中心となります。
帰宅願望は、単に「家に帰りたい」という物理的な意味だけでなく、「安心できる場所に戻りたい」「家族や過去の思い出がある場所にいたい」という心理的なニーズが反映されていることが多いのです。
帰宅願望に対処するための具体的な方法についてお伝えしていきます。
1. 本人の気持ちに寄り添う
帰宅願望を訴える人に対して、まずはその気持ちに寄り添う姿勢が大切です。
そのためにも「否定する」ということはNGになってきます。
本人が「家に帰りたい」と言った場合に、「ここがあなたの家ですよ」などと現実を否定してしまうと、混乱や不安がさらに強まることがあります。
次のような対応を心掛けましょう。
- 共感を示す
「家に帰りたい」という訴えに対して、「家に帰りたいのですね」「懐かしい場所が恋しいですね」と共感を示し、まずは本人の気持ちを理解していることを伝えます。
- 安心感を与える
その後、優しく落ち着いた口調で「ここも安全な場所ですよ」「もう少しここにいてから、家のことを考えましょう」など、安心感を与える言葉を使います。
否定するのではなく、本人を安心させることが重要です。
2. 注意をそらす
帰宅願望が強くなる場合、本人の注意を他のことに向けることで、不安や混乱を和らげるというのも一つの方法です。
趣味や好きな活動、リラックスできる環境を提供することで、ご本人の気持ちが落ち着いてくるかもしれません。
- 話題を変える
「そういえば、○○の話をしたことがありましたね」と、家に帰る話題から離れ、過去の楽しい思い出や興味のあるトピックについて話しをしてみましょう。
それによって、ご本人の関心が別の方向に向いてくるかもしれません。
- 軽い活動を提案する
「少しお茶でも飲みましょうか」「散歩をしてみませんか」など、軽い活動や休息を提案することが効果的なこともあります。
これにより、不安な気持ちが和らぎ、帰宅願望を忘れることもあります。
3. 安全な環境を提供する
帰宅願望が強い場合や、実際に家を探して徘徊してしまう場合、ご本人が安心できるように環境を整えることが重要です。
安全な環境作りと同時に、認知症の人が安心感を持てるような工夫が必要です。
- 慣れた持ち物を活用する
認知症の方が自宅だと感じやすくするために、写真、家具、愛用している物など、本人にとって安心感を持てるものを配置します。これにより、安心感を得やすくなります。
- 部屋や家のレイアウトを整える
自宅の中であっても、慣れ親しんだレイアウトや日常生活の流れを守ることが、帰宅願望を和らげる助けになります。
部屋の照明を明るく保ち、視覚的に不安感を与えないようにしましょう。
- GPSやセンサーの活用
徘徊が心配される場合には、GPS機能付きのデバイスやセンサーを活用することも有効です。
これにより、もし外に出てしまった場合でも早く対応でき、安全を確保できます。
4. 規則的な生活リズムを整える
帰宅願望は、夕方や夜に強くなることがよくあります。
規則正しい生活リズムを保つことで、日中の活動量を増やし、夜間にリラックスできる環境を整えることが効果的です。
- 日中の活動を増やす
日中に散歩や軽い運動を取り入れ、活動量を増やしましょう。
夕方以降の不安や混乱を軽減できます。
また、日光を十分に浴びることも体内時計のリズムを整え、帰宅願望を和らげる効果があります。
- 夜間のリラックス時間を確保する
夕方から夜にかけては、テレビや騒音の少ない環境にし、ご本人がリラックスできるよう心がけましょう。
音楽やアロマなどを活用して、リラックスできる雰囲気を作ることも効果的です。
5. 家族や介護者がストレスを抱えないようにする
帰宅願望に対応する家族や介護者にとって、この状況は大きなストレスとなることがあります。
そのため、家族や介護者自身のストレス管理も重要です。
以下のような支援を活用することも考慮しましょう。
- レスパイトケアの利用
介護者が少しの間休息を取れるように、短期間の施設利用やデイサービスなどのレスパイトケアを活用することも検討しましょう。
これにより、家族の負担が軽減され、気持ちに余裕を持って対応できるようになります。
家族の気持ちにゆとりができることは、ご本人の安心感につながります。
- 家族や友人との連携
介護は一人で抱え込まず、家族や友人、地域の支援ネットワークと協力して行うことが大切です。
相談できる相手がいることで、帰宅願望に対する対処も冷静に行えるようになります。
6. 医療や専門家のサポートを受ける
帰宅願望が強く、家庭内での対応が難しい場合や、徘徊が頻繁に起こる場合には、医師や介護の専門家に相談することが大切です。
- 医師の診察を受ける
医師に相談することで、帰宅願望や徘徊が他の病状(不安障害、うつ病など)と関連しているかどうかを確認することができます。
また、必要に応じてお薬を使うこともありますが、まずはお薬を使わない方法を提案します。
- 専門家のアドバイスを受ける
ケアマネジャーや介護施設のスタッフ、ソーシャルワーカーなどの専門家に相談することも大切です。
帰宅願望に対する具体的なケアプランを提案してもらうことができます。
特に、環境の整備や日常生活のリズムの調整についてのアドバイスが役立ちます。
帰宅願望を理解する重要性
帰宅願望は、認知症の方が抱える心理的な不安や混乱の表れです。
物理的に「家に帰りたい」ということよりも、安心できる場所に戻りたいという気持ちが根底にあります。
そのため、帰宅願望に対する対応は、本人の気持ちに寄り添い、安心感を提供することが最も重要です。
家族や介護者が無理をせず、適切な支援を受けながら対応することで、より穏やかな環境を作ることができます。
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