記憶の種類

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記憶の種類

2023/11/14

記憶って、ひとことで言うけれど…

 

「記憶」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?

 

じつは「記憶」とひとくちに言っても、

さまざまな種類や分類方法があり、

参考にする本や記事によっても分け方が違います。

 

そこで今日は、

そんな「記憶」について、少し整理してみたいと思います。

目次

    記憶の定義

    「記憶」とは、

    • 「新しいことを覚えること」
    • 「昔のことや、自分が体験した情報を覚えていること」

    など、

    ざっくりとしたイメージで

    とらえている方も多いかもしれません。

     

    もちろん、

     それでも日常生活では特に困ることはありません。

     

    でも、せっかくなので、

     ここでは心理学や神経心理学の分野でよく使われる

    「記憶の定義」をご紹介してみましょう。

     

     

    🍃代表的な記憶の定義


    ・「過去経験を保持し、後にそれを再現して利用する機能のこと」(心理学的辞典,2000)

     

    ・「新しい経験が保持され、その経験が行為や意識の中に再生されること」(山鳥,2002)

     

    ・「情報を貯え、目的に適うようにそれを利用する能力のこと」(Lezak,2004)

    記憶の段階による分類

    ✅ 記銘(覚える)

    ✅ 保持(覚えておく)

    ✅ 想起(思い出す)

    といった記憶の段階による分類があります。

    記銘 Encoding

     

    記銘とは、「覚えること」です。

    最近は、『符号化』とも呼ばれています。

     

    外部の刺激がもつ情報を意味に変換し、記憶として取り込んで

    記憶情報として保持されるまでの「憶える」過程、

    つまり、入力の段階ですね。

     

    記銘には、

    顕在的な記銘(記銘する意図がある: 意図的記銘)

    潜在的な記銘(記銘する意図がない: 偶発的記銘)とがあります。

     

    私たちの日常生活での記銘は

    テスト勉強などといった特殊な場合以外

    ほとんどが偶発的記銘です。

     

    エピソード記憶の記銘には、

    側頭葉内側面(海馬、海馬傍回を含む)、

    前頭前野(特に左下前頭回)、

    頭頂葉などの領域が関与していることが知られています。

    保持 Storage

     

    記銘したものを保存しておくこと

     

    神経細胞には、シナプスが1細胞当たり数万個あり、

    他の神経細胞と情報のやり取りをしています。

     

    その一つひとつの神経細胞は多くの記憶に関わっていますが、

    記憶ごとに異なるシナプスを使い分けることで、

    個々の記憶を混同せずに正確に保存していると考えられています。

     

    長期間保存される記憶では、

    その記憶に対応する特定のシナプスに

    細胞体から記憶関連たんぱく質が配達されることで

    そのシナプスの働きの変化が持続し、

    記憶が正しく長期間保存されると考えられます。

     

    参考)記憶を正確に保存する神経細胞の仕組みを解明

     

     

    想起 Retrieval

     

    保存されていた記憶をある期間後に外に表すこと

     

    参考)記憶は脳のどこにあるのか?(臨床神経 2013;53:1234-1236)

    記憶時間による分類

    次に、記憶時間による分類です。

     

    感覚記憶、短期記憶、長期記憶

    に分類されます。

     

    感覚記憶 Sensory Memory

    感覚記憶とは、感覚器官(目、耳、鼻、舌、皮膚)でキャッチした情報を

    そのまま一時的にとどめておく記憶です。

    視覚の感覚記憶をアイコニックメモリ(映像記憶)といいます。

    0.5秒という説も1秒という説もあります。

     

    聴覚の感覚記憶をエコイックメモリといいます。

    こちらは視覚の感覚記憶(アイコニックメモリ)よりも少し長く4秒くらい。

    感覚記憶というのは容量は大きいのですが、

    とどめておけるのはほんの一瞬です。

     

    その膨大な記憶のうち必要な情報だけが、短期記憶へと移行し、

    ほとんどの感覚記憶は忘れ去られてしまいます。

     

    この感覚記憶から短期記憶への移行へは注意が関係しているとされています。

    短期記憶

     

    短期記憶は、一時的に覚えておく記憶で

    数秒から十数秒、長くても数十秒と言われています。

     

    容量も少なくて、だいたい無意味で無関係だと7つくらい。

    「マジカルナンバー7±2」として知られています。

     

    なので、郵便番号や市外局番を抜かした電話番号などがこの桁数で作られているのだそうです。

    短期記憶にある情報が繰り返し思い出されることにより、

    忘れにくい長期記憶へと移行していきます。

    💡 長期記憶

     

    長期記憶は、言葉で表せるかどうかで、

    宣言的記憶(陳述記憶)非宣言的記憶(非陳述記憶)の2つに大きく分けられます。

     

    📚 宣言的記憶(陳述記憶)declarative memory

    意識的想起が可能であり、

    内容を言葉で述べたり、イメージしたりできる

     

    宣言的記憶の多くは顕在記憶であり,私たちはそれを意識することができます。

     

    宣言的記憶には、エピソード記憶と意味記憶があります。

     

    🌸 エピソード記憶 (Episodic Memory)

    時間的・空間的状況のなかで起こった出来事の記憶。

    いつ、だれが、どこで、なにを、どうした

    というような日常的な出来事についての記憶です。

     

    たとえば、

    昨日の夕食をどこで誰と何を食べたかというような記憶が

    エピソード記憶に当たります。

     

    エピソード記憶は、

    さらに「自伝的記憶」、「展望的記憶」、「フラッシュバルブ記憶」にわけられます。

     

    🌸 意味記憶 (semantic memory)

    時間的・空間的背景のない知識や概念の記憶

    たとえば、単語の意味、物品の名前やカテゴリーなど

     

     

    📚 非宣言的記憶(非陳述記憶)non-declarative memory

    意識的想起が不可能である

    たとえば、箸の使い方など、練習で体が覚えた技能など

    エピソード記憶

    いつ、だれが、どこで、なにを、どうした

    というような日常的な出来事についての記憶です。

     

    また、そのときの感情が結びついて、

    エピソードとして強化されるという特徴があります。

     

    たとえば、

    「自分の誕生日にパートナーと高級なレストランに行った」

    というようなエピソードは、

    その時のドキドキ感や嬉しさ、緊張とともに覚えているということです。

     

    また、エピソード記憶は、

    自己認知やメタ認知(自己の認知状態の認知)などといった

    極めて高次な認知機能とも関連深く、

    人間の認知能力の根幹となるシステムだと考えられています。

     

    エピソード記憶の神経基盤

    ① 内側辺縁系回路 (Papez回路): エピソード記憶の記銘と固定化

    海馬-脳弓-乳頭体-乳頭体視床路-視床前核-前視床脚-帯状回(帯状束)-海馬台(内嗅皮質)-海馬

     

    ② 腹外側辺縁系回路: 情動を伴う事象の記憶(情動性記憶)

    扁桃体-腹側扁桃体遠心路-視床背内側核-前視床脚-前脳基底部(梁下野-対角帯)-扁桃体

     

    ※前頭前野: エピソード記憶の形成 

    刺激の組織化あるいは記銘戦略の選択

     

    エピソード記憶は、

    さらに「自伝的記憶」、「展望的記憶」、「フラッシュバルブ記憶」にわけられます。

     

    ♦ 自伝的記憶

    自分史の一部をなすような、過去の個人的な出来事の記憶です。

    自伝的記憶には、ポジティブな記憶を想起することで、

    ネガティブ気分を緩和することができるといった感情制御機能があるとされています。

    参考)ポジティブな自伝的記憶の想起が感情に及ぼす効果 : 記憶の重要度と鮮明度及び想起者の抑うつ傾向の影響

     

    ♦ 展望的記憶

    未来に実行すべき予定や約束の記憶です。

    たとえば、

    食事の後に薬を飲む、

    明日の朝ゴミ出しをするといった予定についての記憶で、

    日常生活を円滑に進める上で重要となってきます。

     

    ♦ フラッシュバルブ記憶

    感情が強く喚起される重大な出来事を知ったときの周りの状況についての

    鮮明で比較的永久的な記憶です。

    ワーキングメモリー(作業記憶)

    ワーキングメモリーは、情報を一時的に保持し、処理する脳の機能です。

     

    容量はとても限られており、

    平均して4±1個の情報しか同時に扱えないとされています【※Cowan, 2010】。

     

    過剰な情報が入ってくると、

    • 注意が分散する

    • 処理しきれず「頭がパンパン」になる

    • 判断ミスやミスコミュニケーションが増える

    といった状態になりやすくなります。

     

    ワーキングメモリーは、よく、勉強机にたとえられます。

     

    情報が多いというのは、

    上のイラストでいうと、本がいっぱいありすぎて、勉強机に本が置ききれず、

    何から手を付けていいのかわからなくなっている状況です。

    プライミング

    プライミングとは、

    先に入った情報が、その後の思考・感情・行動に無意識に影響を与える現象のこと。

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