「甘いものが止まらない」のは意志が弱いからじゃない!脳とお腹の意外な関係
2020/08/13
目次
仕事でクタクタに疲れた帰り道、
コンビニに寄ってチョコやポテトチップスをカゴいっぱいに買ってしまう……。
そして夜中にドカ食いしては、
「なんて意志が弱いんだろう」と落ち込む。
そんな経験はありませんか?
でも、自分を責めるのは今日で終わりにしましょう。
実は、ストレスが溜まったときに甘いものや脂っこいものが無性に食べたくなるのは、あなたの意志が弱いからではありません。
私たちの「脳とお腹」が仕組んだ、ある驚きのメカニズムが原因だったのです。
この記事では、
食欲が暴走してしまう本当の理由と、
我慢に頼らずにそのループを抜け出すヒントを、
科学的な実験をもとに分かりやすく解説します!
「体に良くない」と分かっていても、
心が疲れるとどうしても手が伸びてしまうお菓子やジャンクフード。
実はこれ、
私たちの体がストレスを感じたとき、
手っ取り早く心を落ち着かせようとする「防衛反応」のようなものなのです。
それを証明する、2つの興味深い実験をご紹介します。
砂糖はイライラを一瞬で静める「特効薬」
まずは、国内の研究チームが行ったラット(ネズミ)の実験です (1)。
ストレスにさらされて興奮しているラットの脳内を調べると、神経を興奮させる物質が急増していました。
ところが、同じようにストレスにさらされたラットに砂糖を与えたところ、その脳の興奮がピタッと抑えられていたのです。
つまり砂糖には、
ストレスによる脳の興奮を一瞬でフタして静める、
まるで「お薬」のような即効性があるということ。
私たちが疲れたときに「甘いものが欲しい!」
となるのは、脳がこのリラックス効果を覚えているからなのです。
胃に油が入るだけで、悲しい気持ちが半分になる!?
もう一つは、ベルギーの大学で行われた、人間の「胃」と「脳」の関係を調べた実験です (2)。
被験者たちに悲しい音楽や映像を見てもらい、
あらかじめしっかり落ち込んだ気分になってもらいます。
その後、本人が「何を入れられたか分からない状態」で、
チューブを使って胃の中に直接「脂肪分」を注入しました。
すると驚くことに、胃に油を入れられた人は、
ただの塩水を入れられた人と比べて、落ち込み度がなんと50%も軽くなったのです!
💡ここがポイント!
「口で食べて美味しいから元気が出た」のではなく、
本人が気づかないうちに 「胃に油が入った」という事実だけで、脳のネガティブな感情が半分に和らいだ ということです。
脂っこいものが無性に欲しくなるのも、
あなたの心がダイレクトにラクになろうとして、体が求めていたサインだったのですね。
参考文献
1. 木村修一他(1999)「ストレス緩和に対する砂糖の影響」『平成11年度農畜産業振興事業団助成事業「医学的・栄養学的な見地からの砂糖に関する調査研究」報告書』
2. Fatty acid-induced gut-brain signaling attenuates neural and behavioral effects of sad emotion in humans. J. Clini. Invest. 2011 Aug;121(8):3094-9. doi: 10.1172/JCI46380. Epub 2011 Jul 25
ストレスで食べ続けると
私たちの脳は、手軽で気分を高揚させてくれる食べものを覚えています。
そのため、ストレスがかかるとついついその食べものに手が伸びてしまうのです。
ストレスを感じたときに甘いものや油っぽいものを食べる、
こういう生活が長い間、習慣的に続けていると、
なかなかその習慣を変えることは難しいでしょう。
では、この習慣が続いた場合、私たちの身体はどうなってしまうのでしょうか?
ストレスが解消されない限り、過食気味になります。
結果として、肥満となり、糖尿病などの病気を引き起こします。
意外なところで、循環器疾患や癌、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病などの病気にもなりやすくなるといわれています。
病気を引き起こすメカニズム
ふつう人類を含めた動物は、
おなかが空いたときに食事を食べ、
おなかが満たされれば、食欲は抑えられます。
空腹のとき、胃ではグレリン(注1)という物質が分泌され、
血流にのって脳へ
または迷走神経を刺激して、脳へ空腹であるという信号を送ります。
おなかが満たされると小腸からコレシストキニン(注2)という物質が分泌され、
脳に食欲を抑えるよう信号を送ります。
注1.グレリン:胃から分泌される食欲ホルモン。食欲亢進や脂肪蓄積などの生理作用があり、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病など、さまざまな病気に影響している。
注2. コレシストキニン:脳と腸が自律神経やホルモンを介して影響し合うという脳腸相関に関与する脳腸ホルモンの1つ。十二指腸および近位空腸のI細胞から分泌されることで、アミラーゼやリパーゼなどの膵酵素分泌を促進する作用、胆嚢収縮とOddi括約筋の弛緩によって胆汁の十二指腸への排出および胃酸分泌抑制に関与することでタンパク質や脂質の消化を助けている。また、脳内でも分泌合成されることで神経伝達物質として、満腹中枢を興奮させることによる摂食調整、記憶にも関与していることが知られている。
ところが、脂肪分や糖分の多い食事を常にしていると
腸や脳で慢性的に炎症が起きてきます。
これが迷走神経の感受性を低下させ、
満腹中枢のある視床下部という脳の部位において満腹シグナルの感受性が低下し
おなかが満たされても満腹であると感じにくくなります。
では、なぜ糖分や脂肪分の多い食事が炎症を引き起こすのでしょうか。
これには腸内細菌が関係しています。
炎症を起こす原因物質にLPS(リポポリサッカライド)(注3)とサイトカインがあります。
注3. リポポリサッカライド:グラム陰性桿菌の菌体成分で炎症性サイトカインの放出を促進します(炎症を悪化させます)
脂肪分の多いものを食べると腸内細菌の中でファーミキュテス門、プロテオバクテリア門という種類の菌が増えます。
これらの菌は、表面の細胞壁にLPSという物質を持っています。
このLPSが腸の内壁細胞に近づくと
腸のレセプターと結合して炎症物質(サイトカイン)を生成し、
腸の免疫を活性化させます。
通常はLPSやサイトカインができても別の経路で炎症が起きすぎないように調整されていますが、
脂肪分の多いものを食べすぎたときは、その歯止めがきかなくなってしまうのです。
そして、サイトカインがどんどん生成され、
腸だけでなく、脳や各組織で炎症を起こします。
その結果として、視床下部にある満腹中枢にもダメージを与え、
食欲がコントロールできず、過食になるという悪循環に陥ってしまうのです。
そして、炎症が続くと糖尿病や高血圧、循環器疾患、脳血管疾患、癌などに罹患しやすくなるのです。
あなたがお菓子を食べたくなる本当の原因は?
あなたがお菓子を無性に食べたくなるのは、
本当はお菓子が食べたいからではなく、
ストレスを発散させたいからかもしれません。
ただ、手軽に手に入るお菓子などは糖分脂肪分が多く
後々、自分の身体に害を及ぼすことになりかねません。
そう考えるとストレスを溜めない習慣をつけて、
お菓子を食べる頻度が減らせたら、
心にとっても身体にとっても良いことだと思いませんか?
では、あなたがストレスを感じた原因はなんでしょうか?
・仕事が忙しく、追い立てられるように感じ、気持ちの余裕がなくなりイライラしていた。
・馬が合わない人とうまくやろうと自分の本音を言わず、心の中でイライラしていた。
・その日できなかった、失敗したことを誰かに責められて落ち込んでいた。
人によって、そのストレスの原因はさまざまです。
しかし、多くの場合、ストレスの原因には
怒りや悲しみ、不安などの感情が関与しています。
そして、この溜め込んだ感情をお菓子で発散させるということをしているのかもしれません。
そうであれば、感情を溜め込まなければ、
ついついお菓子に手が伸びるということが減る可能性があります。
感情カウンセリングでは
イライラした、悲しかった、不安でどうしようもなかった感情を軽くするお手伝いをしています。
抱えていた心の中のモヤモヤが軽くなれば、
ストレス解消のためのお菓子は必要なくなるかもしれません。
とはいっても、今まで日常的にお菓子を食べていた場合、
どうしてもお菓子が食べたくなる時もあるでしょう。
このとき、自分の気持ちを無視して、我慢するというのもストレスになってきます。
この場合、無理やりお菓子を我慢するのではなく、
自分でお菓子を作ってみることも一つです。
そのお菓子を作るためにどのぐらい砂糖が使われているのか、
どのぐらい油を必要とするのか実際に見ると驚くと思います。
自分で作ると砂糖や油の量を調整することもできますし、
自分で作ると不思議と満足感も得られやすいです。
減量を少しでも身体によいものを選べるというのもうれしいですね。









