幼少期のストレスは大人になって過敏な腸になる?①
2020/08/27
近年増えているストレスが原因となる疾患の中にIBS(過敏性超症候群)があります。
この疾患を持つ人は頻繁に下痢や腹部の不快感などを起こし日常生活に支障をきたすことがあります。
血液検査、内視鏡などの検査では異常が見つからず、特に命に関わる病気ではないので、病院の医師からも具体的な提案がなく困っている方もいるでしょう。
病院では対症療法と言って症状に応じた治療をしますが、治療自体が確立されてはいません。
しかしストレスが起因であるのならば、ストレスについての理解とそのストレスの根本の改善によって症状が変化するかもしれません。
ということで今回は幼少期のストレスは大人になって敏感な腸になる?をお話します。
まずIBS(過敏性腸症候群)はどう言った病気なのでしょうか?
貧血、血便、体重減少、微熱などの症状がなく、
血液検査、大腸検査(内視鏡、造影検査)で異常がなく、
他の疾患(甲状腺、糖尿病などの内分泌疾患)、寄生虫感染などがないことことを確認した上で
以下のローマⅢ基準が当てはまるとIBSとなります。
IBSの診断基準(ローマⅢ基準)
IBSは最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
下記の2項目以上の特徴を示す場合診断されます。
1)排便によって症状がやわらぐ
2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)
このIBS、日本人の10〜15%ぐらいの人が罹患しており、年々増加しています。
世界的にみてもアメリカなどいわゆる先進国に多くみられます。
また、発症の前にウイルス性腸炎や細菌性腸炎を起こしたことが契機でIBSになる場合もあります。
細菌このIBSに幼少期のストレスが関わっているのではないかと考えられはじめました。それには大きく二つの理由があります。
腸が敏感になる理由の一つは、幼少期にストレスを経験することで、脳がストレスに対して過敏に反応するようにプログラムされてしまっていることです。
これによりストレスを感じた脳は腸へと信号を送ります。信号を受けた腸は速やかに内容物を排出しようとして激しい蠕動運動がおきます。そのため下痢をしたり痛みが出ます。
もう一つの理由は乳児期に獲得した腸内細菌叢の種類の影響により腸の反応をを起こしやすくしていることです。
腸内細菌の代謝産物が脳の成長や脳へあらゆる信号を送りますが、腸内細菌の種類によってここに変化が起きます。
この二つについてこの後お話ししていきます。