食事と腸の良好な関係は?②

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食事と腸の良好な関係は?②

2020/09/24

今回は過敏性腸症候群(IBS)と小麦、グルテンについてのお話です。

過敏性腸症候群の方は食べ物によって症状が出現しやすくなる方もいます。

前回のように低FODMAP食で自分の症状の出やすい食べ物をチェックすることもおすすめです。

 

グルテンとは、小麦、ライ麦、大麦などに含まれる蛋白質の一種です。

小麦に含まれるグルテニンとグリアジンは水を加えるとグルテンになります。グルテンは粘着性があり腹持ちがよくパンやパスタなどの小麦製品によく含まれています。最近では一見すると小麦が入っていない様に見える食品であっても、つなぎやコクを出すための要素であったり粘度を高める役割として使われています。添加されたものを含めると現代の食事で小麦製品を摂らないことは難しいと感じるかもしれません。

しかし出回っている小麦が様々な病気を引き起こしているのではないかと最近言われはじめました。

 

その原因については大きく分けて三つあります。

⑴グルテンそのものの害

⑵品種改良、遺伝子組換え操作による害

⑶農薬(ポストハーベスト)の害

 

⑴原因の一つはグルテンによる腸壁の炎症と血液中の炎症性サイトカインの活性化です。

グルテンは粘着性があり腸壁にくっつきやすい性質があります。

これに対して免疫が働き腸で炎症が起きます。炎症性物質によって様々な弊害が起きます。腸の粘膜の炎症だけでなくアレルギー症状を起こしやすくしたり、脳の血液脳関門の透過性を増し様々な病気の引き金になると言われています。

 

そもそもグルテンフリー食はグルテンに対する自己免疫性疾患であるセリアック病や小麦アレルギーの方に対して普及しました。その後、グルテン不耐症/過敏症の存在が注目されるようになりました。グルテン不耐症/過敏症はグルテンを摂取することで腹痛、下痢、胃部不快感、慢性疲労などの症状が生じる疾患です。症状の出現までタイムラグがあり、なかなかグルテンが原因とわかりにくいです。今のところ診断ができる検査もありません。実際にグルテンの摂取をやめたことにより長年の胃腸の不快感が改善した方、慢性疲労が改善した方、肌の不調が改善した方など見られ多くの方に影響しているのではないかと考えられ始めました。

 IBSとの症状のオーバーラップ多く、解明されていないことが多いです。

グルテンについては明確にIBSとどう関わっているのかわかっていませんが、そうでない方でも症状がある方もいることを考えると、腸が過敏なIBSの方にとっては一度グルテンフリー食などを試すのもいいのかもしれません。

 

⑵また品種改良や遺伝子組換え操作による影響で小麦そのもの自体が大きく変化していることも原因かもしれません。

長い歴史の中で世界中で飢餓や戦争で十分な食事ができない時代が何度もありました。

安定して食物を得るための方法として品種改良や遺伝子組換え操作により、農薬に強い品種をはじめ、大量生産が可能な小麦がどんどん作られる様になりました。

緑の革命というものです。現在の小麦と古代小麦は遺伝子レベルでは全く異なるものになっているそうです。自然界には存在しなかった生産物になっているのです。

これらの小麦は含有するグリアジニンの量も増えています。

 

特に日本では太平洋戦争後に小麦製品が多く摂られる様になりました。

日本はもともとお米が主流の文化でした。

しかし戦後の食糧難になりアメリカから輸入小麦が入り、学校給食ではコッペパンが出されました。

緑の革命で作られた小麦がたくさん日本に入るようになりました。

当時は戦後の子供達の成長や経済の成長に役立っていたかもしれません。

パスタ、パン、ケーキなどが日本中で普及し外食産業が栄えたのは輸入小麦製の流通の影響は少なくともありそうです。

今のアメリカでは肥満が大きな問題になっていますが、低所得者層の方で安価な食品や小麦などを使ったファーストフードなどが影響しているのではないかとも考えられています。

現在日本は豊かになり、その日の食事に困る人はほとんどいなくなりました。その状況で安価な輸入小麦を無自覚に摂理続ける必要はないのではないでしょうか?

今でも目には見えない形でお菓子や麺類などにこれらの小麦が使用されています。

現状を知った上で普段食べている小麦製品がどんなものか考えて見るいい機会かもしれません。

 

⑶農薬、ポストハーベストの害

⑵で述べたように品種改良や遺伝子操作により小麦は大量生産が可能になりました。

農薬、除草剤に強い品種ができれば当然、薬剤の散布量は増えます。農薬散布料は増えれば摂取される農薬も増えます。

さらに、小麦を輸送する段階で腐ったり害虫がついたり、かびたりしないようにポストハーベストという農薬が散布されます。この農薬の量は通常農場で散布されるものよりも多いです。

これらの農薬には人体にとても危険な物質を多く含みます。催奇形性、発がん性、生殖毒性が高鋳物が検出されています。これらがIBSにどういった影響を及ぼしているのかはわかりませんが、現状を知れば一般的に摂取することも憚られることでしょう。

 

IBS患者に対するグルテンフリーの研究は盛んに行われていますが、現在のところIBSの統計学的に有意な改善は認められず科学的な根拠は得られていません。

しかし小麦類がFODMAPに含まれることから、低FODMAP食にした時にIBS症状が緩和される可能性があります。明らかにフルクタンで症状が出る方はグルテンフリー食を実践した方がいいでしょう。

 

先にも述べた様に現在の流通する小麦は安心できる食品ではありません。

ですから、グルテンとIBSを結びつけるエビデンスがないとは言え、腸が敏感なIBSの方は様々な要因が関わることから摂取を控えた方がいいのかもしれません。

小麦類を除くことは難しいと感じるかもしれませんが、グルテンフリー食品を活用したり自炊をしながらお米中心の食生活をすることも改善の一つかもしれません。

 

一般的にはグルテンフリー(小麦を除外した食事)を2〜4週間実践して見ることがいいでしょう。

その時に直接腸に変化がなくても何らかの変化があれば、腸でのグルテンの吸収が体に影響を与えていると考えられます。

前回の低FODMAP食の時と同様に無理をせず、自分の体と相談しまずは楽しみながら食事を改善していきましょう。

特にストレスを溜めず食事を楽しむことを意識しましょう。

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