ストレスがあるとどんなものが食べたくなる?③
2020/08/13
無意識下では、私たちは自分の食べるものに注意を払っていません。
しかし脳では手軽で気分を高揚させてくれるものを記憶しており、ストレスがかかったときに手にとるようにプログラムされてしまっています。ストレスを感じた時に甘いもの油っぽいものを長期的に常用的に摂取していればその習慣を変えることがなかなか難しいでしょう。
ストレスによってこういった食べ物を求めるようになると体では困ったことが次々と起きます。
まず、過食を促し肥満になります。糖尿病などの代謝疾患になりやすくなります。また循環器疾患、癌だけでなく、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病にもなりやすくなると言われています。
通常は人を含めた動物はお腹が空いた時に食べ、満腹な時には食欲は抑えられます。
空腹時胃ではグレリンが分泌され、血流に乗って脳へ、または迷走神経を刺激して脳へ空腹である信号を送ります。
満腹時は小腸からコレシストキニンが分泌されて脳で食欲を抑制するように信号を送ります。
しかし脂肪分や糖分の多い食事を常時していると腸や脳で慢性的に低悪性度の炎症が起きます。これが迷走神経の感受性を低下させ、視床下部という脳の一部(満腹中枢のある部分)では満腹シグナルの感受性を低下させます。満腹と感じにくくさせています。
なぜ高脂肪高糖分が炎症を起こすのでしょうか?
炎症を起こす原因物質にはLPSとサイトカインがあります。
高脂肪食を食べると腸内細菌の中でファーミキュテス門、プロテオバクテリア門という種類の菌が増えます。この菌は表面の細胞壁にLPSという物質を持ちます。このLPSが腸の内壁細胞に近づくと腸のレセプターと結合して炎症物質(サイトカイン)を生成し、腸の免疫を活性化させます。
通常はLPSやサイトカインができても別の経路で炎症が起きすぎないように調整されていますが、高脂肪食を食べすぎた時は歯止めが効かなくなり、サイトカインがどんどん生成されて腸だけでなく脳や各組織で炎症を起こします。
視床下部にある満腹中枢にもダメージを与え食欲がコントロールできず過食になります。
これらの炎症が続くと各種病気が発生しやすくなるのです。糖尿病、高血圧、循環器疾患、脳血管疾患、癌などです。