糖尿病と睡眠の切っても切れない関係

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糖尿病と睡眠の切っても切れない関係

2024/09/06

目次

    糖尿病と睡眠の切っても切れない関係

    こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。

    今回は睡眠と生活習慣病ということで、生活習慣病の代表格である糖尿病をとり上げていきたいと思います。

     

    糖尿病と睡眠には深い関係があることがわかっています。

     

    不眠症のグループでは、13.1%の人が糖尿病であるのに対して、

    不眠症でないグループは、5%の人が糖尿病という報告があります。

     

    また、糖尿病の47.4%が不眠症であるのに対して、

    糖尿病でない場合は、不眠症の発症率は23.8%と明らかに低かったのです。

     

    このことからも睡眠障害があると糖尿病になりやすく、

    糖尿病があると睡眠障害をきたしやすいということがわかるでしょう。

     

    参考)Ogilvie RP, Patel SR : The epidemiology of sleep and diabetes. Curr Diab Rep 18 : 82, 2018. doi : 10.1007/ s11892-018-1055-8.

    糖尿病における睡眠障害の臨床

    糖尿病は睡眠の質を悪化させる

    では、なぜ糖尿病になると睡眠障害をきたすのか?ということですが。。。

    糖尿病の合併症である末梢神経障害によって足の痛みなどをきたし眠りを妨げたり

    血糖が高いことでのどの渇きやすかったり、トイレに行く回数が増えたりで、眠っている途中で目が覚めるということが起きてくることが指摘されています。

     

    それ以外にも大きな問題としてあるのが、

    • 閉そく性睡眠時無呼吸症候群
    • レストレスレッグ症候群

    を合併してくる確率が高いことです。

     

    この2つの疾患については、また次回以降にお伝えしていきます。

     

    それ以外にも、糖尿病になると自律神経のバランスが崩れ、交感神経優位となることも睡眠の質を低下させる要因として考えられています。これは、視床下部ー下垂体ー副腎系が活性化することで起こってくるようです。

    また、糖尿病の方は不安や抑うつ症状をきたしやすく、それも睡眠障害を悪化させる一因となっています。

     

    まずは、大きく息を吸って副交感神経を刺激し、リラックスを心がけてみましょう。

    糖尿病は睡眠の質を悪化させる~閉塞性睡眠時無呼吸症候群~

    閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは

    睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。

    この病気の方は、
    1)周囲の方からいびきを指摘される
    2)夜間の睡眠中によく目が覚める(息苦しくなって目覚めることもあります)
    3)起床時の頭痛や体のだるい感じ
    4)日中の眠気

    などを経験します。

     

    睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係

    ある調査によると、睡眠時無呼吸症候群を患っていると、年齢・性別・ウエストまわりで補正しても、4年以内に糖尿病を発症するリスクは、1.62倍になるということがわかっています。

    また、睡眠時無呼吸症候群の重症度が高い患者ほど、糖尿病を合併症として発症する可能性が高くなり、重症の睡眠時無呼吸症候群の約15%の方が糖尿病を合併していたとの報告もあります。

    これらの調査結果から、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病を発症させる重大な原因となっていることがうかがえます。

    参考)Association of sleep apnea and type II diabetes: a population-based study. Reichmuth KJ, et al: Am J Respir Crit Care Med 2005; 172(12): 1590-1595.

     

    両者の共通要因、肥満

    糖尿病と睡眠時無呼吸症候群SASとに共通の要因の代表は肥満です。

    糖尿病は生活習慣病の代表格であり、肥満があると糖尿病を発症しやすくなることはよく知られています。

    そして、睡眠中に呼吸が止まってしまう代表的な原因は、空気の通り道である上気道が物理的に狭くなることです。

    肥満のために首回りやあご、気道内部などに脂肪がたまると、空気の通り道を圧迫してしまい、睡眠時無呼吸症候群をきたします。

    眠っている間に空気の通り道を圧迫するほどというとすごい肥満を想像するかもしれませんが、日本人はもともと顎が小さく、睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが高いのです。つまり、欧米人と比べたときに肥満の程度としては低くても睡眠時無呼吸症候群を発症する可能性があるのです。

     

    睡眠不足は血糖値を下げるホルモンインスリンの働きを鈍くする

    血糖値を下げるはたらきを持つホルモン・インスリンは、睡眠不足が続くとはたらきが悪くなります。

    糖尿病で睡眠の質が低下している患者では、睡眠が正常な患者に比べ、朝食前の血糖値が23%高く、空腹時インスリン値も48%高く、

    糖尿病患者の中でも、睡眠の質が低下している人では正常な人に比べ、インスリン抵抗性が82%高かったとの報告があります。

    ※インスリン抵抗性:インスリンの効き具合

    具体的には、膵臓から分泌されるホルモンの一種であるインスリンが、肝臓、脂肪組織、骨格筋といった末梢標的組織において、その機能が損なわれたり、弱まったり、機能を発揮できない状態を指しています。

    糖尿病は睡眠の質を悪化させる~レストレスレッグス症候群~

    レストレスレッグス症候群とは

    「レストレスレッグス症候群」は別名、「むずむず脚症候群」「下肢静止不能症候群」とも呼ばれており、主に下肢に不快な症状を感じる病気です。

    夜眠ろうとベッドに入ったときや、新幹線や飛行機、あるいは映画館などでじっと座っているときに、脚の内側から不快感が起こり、脚を動かすと和らぐ・・・といった特徴があります。

    「レストレス(restless)」とは「そわそわした」、「絶え間なく動く」という意味があります。

     

    聞きなれない病気かもしれませんが、意外とこの病気にかかっている人は多く、日本人の人口の2%~4%、200~400万人の人がこの病気にかかっているとされています。

    ちなみに、この病気は女性の方に多く、男性の約1.5倍だそうです。

    レストレスレッグス症候群の4つの特徴的な症状

    1. 脚の不快な感覚のため、脚を動かしたくてたまらなくなる
    2. 安静にして、横になったり座ったりしていると症状があらわれる、または強くなる
    3. 脚を動かすと、不快な感覚が軽くなる
    4. 夕方から夜にかけて症状が強くなる

     

    糖尿病とレストレスレッグス症候群

    糖尿病になるとレストレスレッグス症候群をきたしやすいといわれています。

    報告によってその頻度は異なりますが、2型糖尿病の17.7~45.0%の人がレストレスレッグス症候群にかかっているとのことです。

    では、2型糖尿病になるとなぜレストレスレッグス症候群になりやすいのか、ということですが、その原因として糖尿病によって生じる末梢神経障害(糖尿病性ニューロパチー)が考えられています。

    Grecoらの報告によると2型糖尿病でレストレスレッグス症候群を発症している人の約96%に糖尿病性ニューロパチーの合併がみられたそうです。

    参考)https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/restless.pdf

     

    レストレスレッグス症候群に対する非薬物療法

    お薬を始める前にまず生活習慣を見直してみましょう。

    1. 睡眠衛生の見直し
    2. 悪化の要因となる嗜好品を減らす:アルコール、タバコ、カフェイン
    3. 適度な運動
    4. マッサージ
    5. 入浴、シャワー

    などが効果的とされていますので、試してみて下さい。

    不眠症が糖尿病に与える影響

    睡眠が足りないと交感神経が刺激され、コルチゾールの分泌が増え、

    インスリン抵抗性が高まるということがいわれています。

    インスリン抵抗性というのは、簡単に言うとインスリンの効き具合です。

    インスリン抵抗性が高くなると、それぞれの臓器において、インスリンの効きが鈍くなっています。そのため、血糖値を正常に保つために、より多くのインスリンが必要になってきます。

    この状態が続くと膵臓でのインスリン分泌機能が低下し、糖尿病になります。

     

    また、不眠により、食欲を抑制するホルモンであるレプチンが減少し、食欲を刺激するホルモンであるグレリンが増加するという研究結果もあります。

     

    つまり、睡眠不足になると食欲が増すため、摂取カロリーが増える傾向があるということです。

     

    コロンビア大学が32〜59歳の男女8,000人を対象に行った調査結果によると

    平均7〜9時間の睡眠時間をとっている人に比べ、睡眠時間が5時間の人が50%、4時間以下の人は73%も肥満率が高かったのです。

    参考) Gangwisch JE et. al. Inadequate sleep as a risk factor for obesity:Analyses of the NHANES I. SLEEP 2005;28:1289-96.

     

    実際、睡眠時間が短いと炭水化物の多いスナック菓子の摂取が30%多いという報告もあります。

    参考)Spiegel K et. al. Brief Communication:Sleep Curtailment in Healthy Young Men Is Associated with Decreased Leptin Levels, Elevated Ghrelin Levels, and Increased Hunger and Appetite. Ann lntern Med 2004;141:846-50.

     

    これを考えると痩せたい人はまず、睡眠をしっかりとることが大切なのかもしれません。


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