その薬は本当に必要ですか?
2023/10/27
その薬は本当に必要ですか?
ポリファーマシーという言葉を聞いたことがありますか?
複数を意味する「poly」と
調剤(薬局)を意味する「pharmacy」が合わさった言葉です。
言葉だけみるとたくさんの薬を飲むことと思われがちですが、
多くの薬を飲むことによって有害事象を起こすことをいいます。
※有害事象とは、薬との因果関係がはっきりしないものを含め、
薬を投与された患者さんに生じたあらゆる好ましくない、あるいは
意図しない徴候、症状、病気のことを言います。
ちなみに、副作用は薬の投与によって生じた、薬との関連を否定できない有害な反応のことです。
ポリファーマシーですが、
6種類以上でリスクが増えるといわれています。
もちろん、なんらかの病気があったり、身体的な不調があったりするからお薬が出ています。
たくさん飲んでいるからといって、それがすべて悪いわけではありません。
身体の状態を保つために必要な人もいます。
要は、その人にとって適正なのかどうかということが大切なのです。
90歳を超え、食事の量も減ってきているのに、
心血管リスクを減らすためのコレステロールの薬は必要なのか...とか
前は認知症のため問題行動が多かったけれど最近は眠っていることが増えたのに、
認知症の周辺症状に対する薬は必要なのか...とか
最近は全く痛みを訴えなくなった人に痛み止めは必要なのか...とか
現在飲んでいる薬が本当に必要かどうかを見直すことは必要かと思います。
たとえ、必要な薬であっても本人が管理できないとなると
処方しているお薬はリスクになりうることもあります。
お薬の飲み忘れや薬を飲んだことを忘れて2回飲んでしまうなどがよくある人に
1日3回きちんと薬を飲みましょうといっても他の人の協力なしでは難しいわけです。
そういう場合、一人暮らしであったり、家族がいても日中は一人になるという環境だと
その人の生活環境によっては、理想的な投薬方法ではないかもしれませんが、
1日1回もしくは2回の服用ですませられるよう調整せざるを得なくなります。
違う効能を狙って出ているお薬の中に似たような成分が含まれているということもあるでしょう。
1人の先生からだけお薬をもらっている場合は、把握しやすいかもしれませんが、
いろいろな病院にかかって、あちこちから薬をもらっているとそういうことが起こりやすくなってきます。
先日、抗コリン作用のある薬が重なることで
急性の心血管リスクが増えるという報告がありました。
抗コリン作用のある薬は脳へ作用し、記銘力低下や注意障害、せん妄をきたす可能性があることが知られています。
しかも、抗コリン作用がある薬というのは意外に多くあります。
抗コリン作用のある薬の一覧とそのリスクスケールを載せておきますので、参考に。
抗コリン作用について詳しく知りたい人は、下記のリンクを参照ください。
https://mentalsupli.com/medication/medication-other/medication-base/anticholinergic/