【認知症の症状】周辺症状 不安-3
2024/10/16
【認知症の症状】周辺症状 不安-3
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
10月も半分を過ぎましたね。
まだまだ暑い日があることに驚きですが、予報では今週末から一気に冷え込むようです。
皆さまも体調には気をつけてくださいね。
さて、今まで、認知症の不安の原因となる喪失体験に関して
についてお伝えしてきました。
本日は、認知症の人がどのような不安を抱えているのかについてお伝えしていきます。
認知症の人は、記憶や認知機能の低下により日常生活のさまざまな面で不安を感じています。
これらの不安は、認知症の進行に伴って次第に強まり、心理的なストレスや混乱を引き起こすことがよくあります。
認知症の人が特に感じやすい不安の要素と、その背景にある原因について詳しく説明します。
1. 記憶の喪失による不安
認知症の主な症状の一つである記憶障害。
これは、日々の生活に大きな影響を与えます。
物事を思い出せなかったり、過去の記憶があいまいになったりすることで、次のような不安をきたします。
- 自分がわからなくなる不安
自分の名前や過去の出来事、家族や友人との関係を思い出せなくなることで、アイデンティティの喪失感を抱くことがあります。
「自分は誰なのか」「何をしてきたのか」といった根本的な不安を抱えやすくなります。
- 日常生活に関する不安
日々の行動や予定を忘れてしまうことで、どこに行こうとしていたのか、何をしようとしていたのかがわからなくなり、不安を感じます。
「次に何をすればいいのか」「ここはどこなのか」といった混乱が生じ、焦りが強まります。
2. 判断力の低下による不安
認知症が進行することで、判断力や問題解決能力が低下し、日常的な意思決定が難しくなります。
これによって以下のような不安が生じます。
- 自分で決められない不安
買い物や料理、金銭管理など、かつて簡単に行えていたことが難しくなることで、選択や判断が必要な状況に強い不安を感じます。
「これで合っているのか」「自分が正しくできているのか」という迷いや疑念が不安を増幅させます。
- 間違いを恐れる不安
小さなミスや失敗が気になることで、何かをする前に不安を感じ、行動をためらうことがあります。
認知症の人は、失敗したり間違った選択をしたりすることを非常に恐れ、自信を失いやすくなります。
3. 環境の変化による不安
認知症の人にとって、環境の変化は大きなストレスです。
新しい場所や慣れない環境では、混乱しやすく、なかなか安心感を得ることができず、不安を引き起こします。
- 見慣れない場所への不安
病院や介護施設に入所したり、慣れない場所に行ったりすると、自分がどこにいるのかがわからなくなることがあります。
この不安が強くなると、「家に帰りたい」といった帰宅願望が生じやすくなります。
- 生活リズムの変化による不安
認知症の人は、生活リズムが崩れると混乱しやすくなります。
日常のスケジュールが変わったり、予定が不明瞭なままだと、どう行動すべきかわからなくなり、不安を感じます。
4. 対人関係による不安
認知症が進行すると他者とのコミュニケーションが難しくなってきます。
これも不安の大きな原因となります。
- 会話が理解できない不安
認知症の人は、言葉を理解する力や記憶が低下することで、他人との会話に混乱を感じることがあります。
話している内容がわからなくなったり、自分の気持ちを適切に伝えられないことで不安が募ります。
- 孤立感や孤独感
認知症の人は、自分の周囲の人々とのつながりが徐々に薄れていく感覚を持つことがあります。
家族や友人が近くにいても、交流が少なくなったり、自分が置き去りにされていると感じることで、孤独感や不安感が強まることがあります。
5. 未来や健康に対する不安
認知症の進行は、本人にとっても将来への大きな不安要素です。
自分の健康状態や、今後の生活がどうなるのかが見えなくなることで、強い不安を感じることがあります。
- 病気の進行に対する不安
認知症の症状が進行していることを自覚している場合、「これからどうなるのか」「自分はこの先どうなるのか」といった漠然とした不安が常に伴います。
病状の進行がどのように影響するかが不透明であるため、将来に対する恐怖や絶望感を抱くことがあります。
- 家族に対する依存への不安
認知症が進行することで、家族や介護者に頼らざるを得なくなる状況に不安を感じます。
「家族に迷惑をかけたくない」「自分が重荷になっている」と感じ、心理的なストレスが増します。
6. 身体的な不調による不安
認知症は、身体的な不調と結びつくことがあり、それが不安を引き起こすこともあります。
体の異常をうまく説明できないことで、さらに不安が強まる場合もあります。
- 痛みや不快感の表現が難しい
認知症の人は、体の痛みや不快感をうまく言葉で伝えられないことがあります。
そのため、痛みや異常があっても、適切な対処ができず、不安を抱え続けることがあります。
- 身体能力の低下への不安
認知症の進行とともに、身体能力も低下していくことがあります。
歩くことや立ち上がることが難しくなり、「転んでしまうかもしれない」「自分でトイレに行けない」という不安を常に感じることがあります。
認知症の方は、特に初期の段階では常にさまざまな不安に悩まされています。
なかには認知症になったから何もわかっていない、どうせすぐに忘れてしまうからと思う方もいるかもしれませんが、認知症になっても感情の記憶は残っています。
認知症の方が抱える不安に寄り添うよう心がけめしょう。
ただ介護者自身が無理のない範囲で行うことが大切です。
介護者が疲れきっていたら、よけいに不安が増す可能性があります。
ヘテロクリニックでは、オンライン相談を受け付けています
認知症介護についてお悩みの際には、ご利用ください。
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認知症については、こちらのブログ記事も参考にしてください。
- 認知症とは
- 認知症の原因 薬剤誘発性認知症
- 認知症の症状 その2 中核症状 記憶障害
- 認知症の症状 その3 加齢による物忘れと認知症の物忘れの違い
- 認知症の症状 その4 中核症状 見当識障害
- 認知症の症状 その5 中核症状 判断力低下
- 認知症の症状 その6 中核症状 失語症
- 認知症の症状 その7 中核症状 失行
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