ウォーキングの効果
2024/09/14
目次
ウォーキングの効果
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
今日はウォーキングの病気予防効果についてお伝えしていきたいと思います。
ウォーキングは様々な病気を予防する効果があると考えられています。
その根拠ともなっているのが、
東京都健康長寿医療センター 社会参加と地域保健研究チームの専門副部長である青柳幸利氏らが、
2000年から群馬県の中之条町で高齢者の日常的な身体活動と心身の健康に関する学際的研究(中之条研究)です。
調査対象は、認知症や寝たきりの人を除いた 65 歳以上の全住民約 5,000 名にも及んだそうです。
対象が全住民というのがすごいですね。
しかも、このうち約1割の人に ついては、加速度センサー内蔵の身体活動計を用いて、生活行動の実態を毎日 24 時間連続して 10 年以上にわたり調べたとのことです。
この身体活動計は、腰につけるだけで歩数や活動強度を数秒ご とに1か月以上にわたって正確に自動記録できるそうです。
このような膨大な時間と住民の協力の結果わかったのが、
健康で過ごすためにに必要な一日あたりの歩数と中強度(安静時代謝量の3倍以上)の活動時間です。
たとえば、1日に4,000歩以上歩き、そのうち速歩きが5分以上(4,000 歩・5分)の場合には、うつ病を予防できる可能性があることがわかりました。
1日あたりの「歩数」「中強度活動(速歩き)時間」と 「予防(改善)できる可能性のある病気・病態」
歩数
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速歩き時間
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予防(改善)できる可能性がある病気・病態
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---|---|---|
2,000歩
|
0分
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寝たきり
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4,000歩
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5分
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うつ病
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5,000歩
|
7.5分
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要支援・要介護
認知症(脳血管性認知症、アルツハイマー病)
心疾患(狭心症、心筋梗塞)
脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)
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7,000歩
|
15分
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ガン(結腸癌、盲腸癌、肺癌、乳癌、子宮内膜癌)
動脈硬化
骨粗しょう症、骨折
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7,500歩
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17.5分
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筋減少症
体力低下(特に75歳以上の下肢筋力や歩行速度)
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8,000歩
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20分
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高血圧症、糖尿病、脂質異常症
メタボリックシンドローム(75歳以上)
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9,000歩
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25分
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高血圧(正常高値血圧)、高血糖
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10,000歩
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30分
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メタボリックシンドローム(75歳未満)
|
12,000歩
|
40分
|
肥満
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このように活動量が多いと病気を予防できる可能性が高いいっぽう
やりすぎると健康を損なう恐れがあることもわかっています。
無理せず楽しめる範囲でウォーキングを始めてみてはいかがでしょうか?
運動効果を高める歩き方
ウォーキングでは
正しい姿勢、歩幅、腕の振り方、着地の重心移動、呼吸の仕方など
意識して歩くことが重要です。
まずは、今よりもプラス1,000歩をめざして。
- エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う
- 時間があるときは1つ手前の駅で降りて歩く
- 買い物はなるべく歩きで
など日常生活の中で運動量を増やす工夫をしてみましょう。
歩く速度は、息が切れるような速さではなく、「ややキツイ」と感じる程度にとどめてください。
体調が悪いとき、身体に痛みがあるとき、天気が悪いときには、無理せずお休みをとることも必要です。
ウォーキングの前後には、ストレッチをするようにしましょう。
特に、今まで運動をあまりしてこなかった方は筋肉や関節を痛める危険性があります。
暑い日には水分補給も忘れずに。
ウォーキング前後のストレッチ
ウォーキング前後のストレッチは重要です。
ウォーキング自体は激しい運動ではありませんが、
今まで運動していなかった人が急に行うと筋肉や関節を痛める可能性があります。
【ウォーキングを始める前に】
ウォーミングアップとしてストレッチを行い、身体をしっかりほぐ、筋肉を伸ばすようにしましょう。
ポイントは、
- 息を吐きながらゆっくり筋肉や関節を延ばす
- 痛いと感じる手前でとめ、10秒静止する
ことです。
お尻・ふともも、足の甲・すね、膝などもストレッチしていきましょう。
【歩き始め】
最初5分くらいはゆっくりと速度を落として歩くようにしましょう
【歩き終わり】
クールダウンのため、最後の5分は速度を落としてゆっくりと歩くようにしましょう
【ウォーキング後】
ウォーキング中は、正しいフォームを維持するために、背中や腰の筋肉が絶えず働いている状態です。
ウォーキング後は、下半身の手入れだけでなく背中や腰の筋肉もストレッチしておきましょう。
なぜウォーキングで血圧が下がるのか
ウォーキングの効果について「タウリン」という物質の面からみていきたいと思います。
「タウリン」はよく栄養ドリンクに含まれているため、聞いたことがあるかもしれません。
「タウリン」はアミノ酸の一種で、カキやサザエなどの貝類や、イカ、タコ、魚の血合いなどに多く含まれる成分です。
また、人の体内には体重の約0.1%に相当するタウリンが存在し、食事から供給されるほか、一部は体内で合成されます。
とはいっても、人間は他の動物ほど体内で「タウリン」を合成する力はありません。
ほとんどが食事から摂取され、過剰なタウリンは速やかに腎臓から尿中へ排出され、
必要以上にタウリンが身体の中に蓄積されるということはありません。
タウリンには
- 浸透圧を調整して細胞を元気にする
- 肝臓の機能を高める
- コレステロールを低下させる
- 血糖値を下げる
- 血圧を正常に保つ
- 心臓の働きを強化する
- 目の疲れをいやす
作用があるといわれています。
ウォーキングなどの持久性の運動中、
浸透圧を調節するために骨格筋からタウリンが放出され、
血中タウリンが増加することがわかっています。
ウォーキングによって血圧が下がるのはこのためではないかと考えられています。
ウォーキングが癌を予防する
ウォーキングの効果についての中之条研究でも示されたように
ウォーキングにはガンの発症リスクを下げる効果があるといわれています。
その効果は、なんと13種類のガンに及ぶことが、
米国立がん研究所(NCI)、米国立衛生研究所(NIH)、米国がん学会(ACS)などの研究チームによって行われた144万人を対象とした大規模な研究により報告されました。
それによると、発症リスクが下がるといわれているのが
食道腺癌、肝臓癌、肺癌、腎臓癌、胃噴門癌、子宮体癌、骨髄性白血病、骨髄腫、結腸癌、頭頚部癌、直腸癌、膀胱癌、乳癌
です。
ウォーキングなどの活発な運動を週に5日以上行っている人では、ほとんど運動しない人に比べ、がんの発症リスクが20%低下するとされています。
参考)Increased physical activity associated with lower risk of 13 types of cancer
しかも、ウォーキングにはガンの再発予防効果が期待されるという報告もいくつかあります。
大腸がんの男性になった人を20年間追跡調査したところ、
運動量が多い人ほど死亡リスクが低かったそうです。
参考)Physical activity and male colorectal cancer survival
また、前立腺がんの方2,750人を追跡調査したところ、
週3日以上ウォーキングをしている人は癌の再発・転移・脂肪のリスクが57%も低かったそうです。
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