食事と腸の良好な関係は?①

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食事と腸の良好な関係は?①

2020/09/17

過敏性腸症候群の方の中には食事によって症状が変化する人もいるのではないでしょうか?

 

私もその一人です。今でも本来腸に良いとされる特定の食べ物を食べると悪化してしまうことがあります。食後3時間ぐらいからおへそ周りがゴロゴロ言い始め下痢をします。この様な経験をされる方は以外と多いのではないでしょうか?

IBSの原因は人によって様々ですが、合う食事も人によって違います。ですから、一つの方法に固執せずに自分なりにあうものを柔軟に探すことと、制限をしすぎて本来必要な栄養が摂れなくなってしまわない様に、リラックスして楽に考えて実践することが大切です。

 

今回は過敏性腸症候群の方に推奨されている食事についてと腸内細菌についてお話します。

 

現在過敏性腸症候群の食事療法について様々な研究がされています。

①低フォドマップ(FODMAP)食、②グルテンフリー食、③食物繊維、④プロバイオティクスのなどの研究です。

 

フォドマップ(FODMAP) とは、以下の頭文字を組み合わせた言葉になります。

Fermentable:発酵性の

Oligosaccharides:オリゴ糖(フルクタン、ガラクトオリゴ糖) 

Disaccharides:二糖類(ラクトース)

Monosaccharides:単糖類(フルクトース) 

And

Polyols:ポリオール(ソルビトール、マンニトール、イソマルト、キシリトール、グリセロール)

 

ネットなどでフォドマップ(FODMAP)食と調べるとどんなものがあるかわかると思います。詳しくは割愛しますが、簡単に例を挙げてみると、大麦・小麦・ライ麦などの小麦類とその加工品、大豆、エンドウ豆、インゲン、ヒヨコ豆、レンズ豆、アズキなどの豆類、ナッツ類、タマネギ、ネギ、ニラ、ニンニクなどネギ類、ヨーグルトや牛乳に多い乳糖、ハチミツや果物に多い果糖、人工甘味料を使った菓子などに多いソルビトール、キシリトールなどはFODMAP食として挙げられます。

 

通常多くの方はFODMAPを問題なく消化・吸収することができます。

しかし、IBSの方の中には、FODMAPの一部を小腸で吸収することができず小腸に残ってしまうことがあります。この小腸内に残存したFODMAPが様々な症状を引き起こします。

 

小腸に残ったFODMAPは、小腸内へと水分を引き寄せ過剰に水分を滞留させます。小腸内に過剰な水分が貯まることで腹部膨満感や痛みになり、下痢の原因にもなると考えられています。また小腸で吸収されなかったFODMAPは、大腸に移動し腸内細菌により消化されます。この時にガスが発生して消化管内に滞留し、腹部膨満や痛みを発生させると考えられています。

 

私の場合は、キムチを一口食べただけでも症状が出ます。嫌いな食品ではありませんし、発酵食品で乳酸菌が豊富と言われていますが、症状が出てしまう以上やむを得ません。FODMAP食の全ても除外することは難しいですし、人によって症状のでかたが違うので、自分の経験上、これは症状が出やすいなど思い当たるものから始めてみてもいいかもしれません。

 

このFODMAP食は全て絶対に食べてはいけないというものではありません。また食べても大丈夫な程度の量もある様です。腸の消化吸収機能と腸内細菌の処理能力が関係するのではないかと私は考えています。

前回、出産方法や幼少期の経験などが腸に住み着く腸内細菌の種類に影響していることをお話しました。

腸内細菌が人によって大きく異なります。もちろん腸内に常に同じ菌がい続けるわけではありませんが、その細菌が腸に住みやすい特徴が幼少期から作り上げられています。

腸内細菌の種類が違うのであれば、食べ物の処理能力も異なっても不思議ではありません。

 

 

人によってFODMAPを消化できる機能は異なると考えられています。消化できる上限があり、その上限を超えてしまうと処理能力を超えるので消化器症状が現れると考えられます。一つ一つのFODMAPを摂取して症状がでない場合でも、それが徐々に蓄積していくと、消化器症状が現れる可能性があるそうです。

また累積するということは、FODMAPが含まれる食べ物の種類に加え、FODMAPの量を確認するといいのかもしれません。

 

低FODMAP食は、制限食ではなく、自分の消化器症状の原因となる食品を探すためのツールとなります。

実践方法がありますので、載せますが基本的には医師や栄養士と相談しながら栄養不足にならない様に実践することが重要だと思います。

低FODMAP食の実践方法は、⑴制限期間、⑵チャレンジ期間(再導入期間)、⑶維持期間の3つに分かれます。

 

⑴制限期間 (2-4週間程度)

制限期間では、FODMAPが含まれる全ての食品を2〜4週間程度取り除きます。

もし、制限期間を経て症状が改善しない場合は、FODMAPを食事から取り除けていなか、食事以外の要素(ストレスなど)が消化器症状を引き起こしている可能性があります。

この場合は、3-5日程度食事と症状の記録をつけて、症状が出た際の食事にFODMAPが含まれているかを確認します。

もしFODMAPを取り除けていても消化器症状が出る場合は、低FODMAP食以外のアプローチを模索しましょう。感情カウンセリングでストレスの原因を探り解消することもお勧めします。

制限期間で消化器症状が改善した場合は、再導入期間に進みます。

多くの方はこの制限期間のみを長い間続けてしまいます。栄養摂取の面でとても危険ですので固執せずに一旦やめることも重要です。

 

⑵チャレンジ期間(再導入期間) (6-8週間程度)

チャレンジ期間(再導入期間)では、低FODMAP食を続けながらも、FODMAPの5つのグループが含まれる食品を順々に試して、どのFODMAPグループで消化器症状が出るか確認します。

少量から1品ずつ試していきます。症状が出なければその食品は食べても問題ありません。

症状が出た場合は、症状が出る前の分量まではその食品が許容できるもしくは全く許容できないのどちらかと判断できます。

FODMAPが含まれる全ての食品の反応をチェックしていくと、かなりの時間がかかります。

自分で思い当たる食品から試してみたり、逆によく食べていたものから試してみるといいかもしれません。

過去の経験からすでに消化器症状が出ることがわかっているものは無理に試さなくてもいいと思います。

 

⑶維持期間

維持期間では、制限期間で特定したFODMAPグループに含まれる食品を避けつつ、栄養バランスの良い食事を続けます。

 

アメリカで実践されたIBS患者に対する低フォドマップ(FODMAP)食の効果を検証したこれまでの観察研究・ランダム化試験では、低FODMAP食により、50-76%のIBS患者さんで消化器症状の改善が認められています。

低FODMAP食は、非常に複雑な食事療法で、適切に行われないと効果が得られないことも多く栄養不足などに繋がることもあり注意が必要です。

現在、日本の管理栄養士の間でも少しずつ低FODMAP食の認知度が高まり、少しずつですが、病院などでの食事指導にも取り入れられるようになってきているようです。

実際に低FODMAP食を行う際は、ぜひ主治医の先生や担当の管理栄養士さんに相談して頂けましたらと思います。

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