感情カウンセリングを癌の患者様にお勧めしたい理由 その1
2019/12/21
癌の発生にはストレスが関係している?
癌は二人に一人が罹るともいわれている身近な病気です。
とはいえ、癌というと怖いものというイメージがあり、癌と宣告されたときの本人や家族のショックは計り知れないものがあるでしょう。
感情カウンセリングは、そのときに生じた感情に蓋をするのではなく、その感情を受け入れ、解消し、これからの生活に必要なことを整理するサポートになるツールです。
しかし、感情カウンセリングを癌の患者様にお勧めしたいと思うのには、他にも理由があります。
というのも、最近、癌の発生や経過にストレスが関係しているということが言われているからです。
そもそも癌という病気は、身体の細胞に異常が起きて、癌細胞ができることで起こってきます。
実はこの癌細胞、健康な人でも毎日できてきているといわれています。
では、同じように癌細胞ができているにもかかわらず、癌になる人と癌にならない人がいるのはどうしてなのでしょうか?
それに関係しているのが免疫力です。
もともと私たちの身体には、出来たばかりの癌細胞をやっつける働きが備わっています。
この免疫力を担っているのが免疫細胞です。
その中でも癌を担当する免疫細胞は、キラーT細胞とNK(ナチュラルキラー)細胞になります。
このNK細胞は、リラックスした副交感神経優位のときに最大のパフォーマンスを発揮するといわれています。
つまり、ストレスが少ない状態が、癌細胞にとって最も増殖しにくい環境ともいえます。
感情カウンセリングは、癌の患者様が快適に過ごすという点だけでなく、現在の治療のパフォーマンスを上げる手助けになるという点においても有効なツールになりうるのではないかと思っています。
癌組織内に自律神経系が入り込むことで、その患者の予後が左右されるということを岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)細胞生理学分野の神谷厚範教授が世界に先駆けて証明したという発表が2019年7月9日にありました。
特に乳がんでは、組織内に交感神経が活発な場合には予後不良なのだそうです。
つまりは、ストレスなどによる交感神経の緊張が、癌を進展させ得るということが分かったということです。
癌を患っている方は、それだけでも精神的ストレスがかかりやすい状況だと思います。
ストレスが悪さをするといわれても、なかなか1人では対処が難しいかもしれません。
感情カウンセリングは、ありのままの感情を認め、クリアリングしていくカウンセリングです。
蓋をしてみないことにした感情は、自然にはなくなりません。むしろ自分では気がつかないうちに大きくなっていることさえあります。
身近な人だからこそ心配をかけたくないとの想いから1人で抱え込んでいるときや同じところをグルグルと回る悩みから抜け出せないとき、思考の整理がつかないとき、当クリニックが提供している感情カウンセリングがお役に立てるかもしれません。
ご興味あれば、お気軽にご連絡ください。
論文名:Genetic manipulation of autonomic nerve fiber innervation and activity and its effect on breast cancer progression
掲載紙:Nature Neuroscience
著者:Kamiya Atsunori, Hayama Yohsuke, Kato Shigeki, Shimomura Akihiko, Shimomura Takushi, Irie Katsumasa, Kaneko Ryosuke, Yanagawa Yuchio, Kobayashi Kazuto, Ochiya Takahiro
DOI:10.1038/s41593-019-0430-3.
米国国防総省の研究者らは、Military Health Systemというアメリカの現役・退役軍人およびその家族にケアを提供する国防総省の保健システムの受益者950万人からの請求データを分析しました。
その結果、乳がんまたは前立腺がん患者において、気分障害や適応障害は、入院の重要な予測因子であることが分かったのです。
これは、その他の慢性疾患の数や1年以内に化学療法を受けた回数に次いでのものでした。
具体的には、
毎年平均して、気分障害または適応障害があった乳がん患者では、そのような障害がない乳がん患者と比較すると、外来通院回数が9.4%、入院回数が2.3%、そして入院日数5.4%も増えていたのです。
前立腺がんでも同じようでした。
気分障害もしくは適応障害のある男性は、そうした障害がない前立腺がん患者と比べると、外来通院回数が6.7%、入院回数が2.9%、そして入院日数も8.4%増えていました。