認知症の異食は「わざと」ではありません ――なぜ起こるのか、命を守るために知っておきたい視点

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認知症の異食は「わざと」ではありません ――なぜ起こるのか、命を守るために知っておきたい視点

2026/01/14

目次

    はじめに|「どうしてこんなことを…」と感じたあなたへ

    認知症の方が、
    ティッシュや紙、洗剤のボトル、植物など――
    食べ物ではないものを口にしてしまう。

     

    それを目の前で見たとき、
    多くのご家族がまず感じるのは、
    驚き・恐怖・戸惑いではないでしょうか。

     

    「どうして止められないの?」
    「さっき注意したばかりなのに…」
    「目を離した私のせいかもしれない」

     

    危険が伴う行動だからこそ、
    焦りや不安、そして自分を責める気持ち
    一気に押し寄せてくることも少なくありません。

     

    けれど、まずお伝えしたいのは――
    認知症の「異食」は、わざとではありません。

     

    困らせようとしているわけでも、
    反抗しているわけでもありません。

     

    異食は、
    認知症によって 「理解する力」「判断する力」「状況を結びつける力」 が低下した結果として起こる、
    脳の症状のひとつです。

     

    つまり、
    叱っても、説得しても、
    本人の意思だけで止められる行動ではないことが多いのです。

     

    この事実を知るだけでも、
    「どう対応すればいいのかわからない」という苦しさが、
    少しだけ整理されるかもしれません。

     

    この記事では、

    • 認知症の異食が なぜ起こるのか
    • どんな背景や要因が重なりやすいのか
    • 家族が 命を守るためにできる現実的な工夫
    • ひとりで抱え込まないための考え方

    を、医師の立場から、
    できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

     

    認知症の症状も背景もさまざまです。

    教科書的に理想とする対応が必ずしもベストではありません。


    ただ、一般的な対応や症状が起きる背景を知るだけでも
    少しだけ肩の力が抜けてくるかもしれません。

     

    ここから一緒に、
    異食という行動の「背景」を見ていきましょう。

    第1章|認知症の異食は「理解の障害」から起こる

    認知症の異食は、
    「お腹が空いているから」

    「いたずらをしているから」
    といった単純な理由で起こっているわけではありません。

     

    その背景にあるのは、
    脳の働きの変化によって起こる“理解の障害”です。

     

    ここでは、異食の土台となる中核症状について整理していきます。

    食べ物と、そうでないものの区別ができなくなる

     

    認知症では、
    目に見えているものが「何であるか」を正しく理解する力が低下します。

    専門用語ではこれを 失認 と呼びます。

     

    失認とは、
    「目は見えているのに、意味がわからない」状態です。

     

    たとえば――
    ・ティッシュを見ても「紙」だと理解できない
    ・洗剤のボトルを見ても「危険なもの」と認識できない
    ・植物を見ても「食べられない」と判断できない

     

    このように、
    見た目から“意味”を結びつけることが難しくなるため、
    口に入れてはいけない物も、食べ物と同じように扱ってしまうのです。

    「食事の時間」「食べる場所」という文脈が抜け落ちる

     

    異食には、
    時間や状況の理解が抜け落ちることも深く関係しています。

     

    認知症が進むと、

    • 今が食事の時間なのか
    • ここが食事をする場所なのか
    • 目の前にある物が「たまたま置いてある物」なのか

     

    こうした文脈(前後関係)をまとめて理解する力が弱くなります。

     

    たとえば、

    • いつも食事をしているテーブルに座っている
    • 目の前に何かが置いてある

     

    それだけで、
    「これは食事だ」

    と脳が判断してしまうことがあります。

     

    ご本人にとっては、
    「食べ物だと思ったから食べた」
    それ以上でも、それ以下でもないのです。

    味覚・嗅覚の低下も、異食を助長する

     

    私たちは通常、
    口に入れた瞬間に「これはおかしい」と
    味やにおいで気づき、吐き出します。

     

    しかし認知症では、

    • 味覚が鈍くなる
    • においを感じにくくなる

    といった変化が起こることがあります。

     

    その結果、

    「まずい」「変だ」というブレーキがかからず、
    飲み込んでしまうことが起こりやすくなります。

     

    理解の障害と感覚の低下が重なると、
    異食のリスクは一気に高まります。

    🌱 ひと息まとめ|異食は「わざと」ではなく、脳の“理解の抜け落ち”が原因です
    • 目の前のものが食べ物かどうか判断できない(失認など)
    • 「ここで食べる」「今は食事の時間」という文脈(場所・時間の手がかり)が抜け落ちる
    • 味覚・嗅覚が落ちていると、違和感に気づきにくいことも
    だからこそ、注意や叱責よりも、環境と関わり方を整えることが「安全」と「安心」につながります。

    次の章では、
    「理解の障害」だけでは説明しきれない
    空腹・不安・ストレスと異食の関係を整理していきます。

    第2章|異食は「空腹」だけじゃない——不安・ストレス・体調不良が引き金になる

    第1章でお伝えしたように、

    異食の土台には

    「食べ物/食べ物でないものの区別がつきにくい」

    「食事の時間や場所という文脈が抜け落ちる」

    といった、認知症の中核症状が関わっています。

     

    ただ、実際の現場ではそれだけで毎日異食が起こるわけではありません。


    多くの場合、

    “引き金(きっかけ)”が重なったときに異食が増える傾向があります。

     

    ここでは、異食を悪化させやすい代表的な引き金を、家族が観察しやすい形で整理します。

    2-1|「空腹」——満腹感が伝わりにくい・食べた記憶が残りにくい

     

    異食のきっかけとしてよくあるのが「空腹」です。


    ここでのポイントは、

    単に食事量が少ないというだけでなく、認知症の影響で次のようなことが重なる点です。

     

    • 食べたこと自体を忘れて「まだ食べていない」と感じる
    • 「さっき食べた」という満足感が残りにくい
    • 空腹の不快感をうまく言葉にできず、“口に入れる行動”で落ち着こうとする

     

    結果として、

    目の前にあるものが食べ物かどうかの判断が難しいと、異食につながりやすくなります。

     

    観察のヒント
    食事の直後〜1時間以内に「食べてない」「お腹すいた」を繰り返す、

    落ち着きがなくなる、

    テーブル周りのものを触り始める…

    などは、空腹(あるいは空腹“感”)が関係しているサインになりえます。

    2-2|「不安・ストレス」——安心できないと“手近なもの”に向かう

     

    異食は、「脳の理解の問題」だけでなく、心の状態にも強く左右されます。


    認知症の方は、不安やストレスが高まると、

    言葉で整理する代わりに 行動として現れる ことがあります。

     

    例えば、

    • 初めての場所・慣れない音や人の出入りで落ち着かない
    • 予定変更が続いて見通しが立たない
    • 周囲が慌ただしい、介護者が疲れている(空気の緊張が伝わる)

     

    こうした状態が続くと、

    本人の中では「よくわからないけど怖い」「落ち着かない」が膨らみ、

    “口に入れる”という行動が自己鎮静(落ち着くための行動)として出ることがあります。

     

    観察のヒント
    夕方〜夜に増える、来客後に増える、外出や入浴など“イベント”の前後に増える、などのパターンがあれば、ストレス要因が関係している可能性があります。

    2-3|「体調不良」——痛み・便秘・脱水・眠気が“行動”に化ける

     

    もう一つ、とても見落とされやすいのが体調です。


    認知症が進むと、

    体の不調を「ここが痛い」「気持ち悪い」と適切に説明しにくくなります。

     

    すると、体の不快感が別の形で出ることがあります。

     

    異食が増える背景として、よく関係するのは次のようなものです。

     

    • 便秘(落ち着かない/腹部不快)
    • 口の渇き・脱水(口に何かを入れたくなる/飲み込みの違和感)
    • 睡眠不足・昼夜逆転(注意力の低下・せん妄っぽさ)
    • 痛み(関節痛、歯の痛み、褥瘡など)
    • 感染症(微熱や体調の揺れが行動に反映)

     

    体調が揺れているときは、

    “判断力がさらに落ちる”ため、異食が起こりやすくなります。

     

    観察のヒント
    ✅ いつもより急に増えた

    ✅ 普段しない場所で起きる

    ✅ 夜間に強い

    ✅ 表情が険しい・落ち着きがない

    というときは、まず体調チェックを優先してOKです。

    2-4|「生活リズムの乱れ」——“食事の流れ”が崩れると異食が増えやすい

     

    異食の予防で地味に効くのが、生活リズムの安定です。


    認知症の方にとって

    「次に何が起きるか分かる」ことは、安心の柱になります。

     

    • 食事の時間が日によってバラバラ
    • 食事の場所が変わる(リビング→寝室など)
    • 食後に何をするかが一定でない

     

    こうした揺れが大きいと、

    「今は食事の時間」「もう終わった」という文脈がさらに弱まり、

    異食につながることがあります。

    2-5|ここまでのまとめ:異食は“ひとつの原因”で説明しきれない

     

    異食は、
    ①理解・判断の低下(中核症状) に、
    ②空腹・不安・体調不良・リズムの乱れ といった引き金が重なることで、起こりやすくなります。

     

    だからこそ、家族ができることは「注意する」より先に、

    • いつ増える?(時間帯・場面)
    • その前に何があった?(環境・予定・体調)
    • 食事や睡眠は足りている?

    という“探偵モード”でパターンを見つけること。


    この観察が、

    次章の「対策(環境整備・食事・リズム・相談の目安)」にそのままつながります。

    🌱 ひと息まとめ|異食が増える日は、理由があります

    異食は、「わざと」「言うことを聞かないから」起きているわけではありません。

    多くの場合、
    ・お腹の空き方がうまく伝わらない
    ・不安や緊張が強くなっている
    ・体調の揺れや疲れがある
    ・生活のリズムが崩れている
    ――そんな“言葉にできないしんどさ”が重なった結果として現れます。

    もし異食が増えたときは、叱ったり止める前に、
    「今日は何がいつもと違ったかな?」
    と、少しだけ立ち止まってみてください。

    原因が見えてくると、対応は“注意”から“支え”へと変わっていきます。

    第3章|異食を防ぐカギは「注意」よりも環境づくり

    異食が起こると、
    「目を離さないようにしなきゃ」
    「危ないものを全部どけなきゃ」
    と、どうしても介護する側の緊張が高まります。

     

    もちろん安全対策は大切です。


    ただ、異食は“行動”として現れているだけで、その背景には
    理解のしづらさ・不安・空腹感・混乱が重なっています。

     

    そのため、
    本人を制止することよりも、
    異食が起こりにくい環境を先に整えることが、長い目で見ると負担を減らします。

     

    異食は、注意や叱責では止まりません。


    ここでは、
    環境・生活の流れ・関わり方を整えることで、
    異食を“減らす”ための具体策
    を見ていきます。

    ①「口に入る距離」に物を置かない

     

    異食は、
    「手に取れる」

    「目に入る」

    「なんとなく食べられそう」
    この3つが重なったときに起こりやすくなります。

     

    特に注意したいのは、
    ・ティッシュ
    ・紙類
    ・小物
    ・観葉植物
    ・洗剤や薬品
    など、日常的に置きっぱなしにしがちなものです。

     

    お菓子・薬なども包装紙ごと口に入れるリスクがあるので、注意が必要です。

     

    すべてを片づける必要はありませんが、
    「座ったまま」「立ち上がらずに」手が届く範囲には置かない、
    この視点だけでも異食のリスクは下がります。

    ②「食事の文脈」をはっきりさせる

     

    認知症が進むと、
    ・今が食事の時間なのか
    ・ここは食べる場所なのか
    といった文脈(状況のつながり)が抜け落ちやすくなります。

     

    その結果、
    「いつもの場所に座った → 食事の時間だと思った → 目の前の物を口に入れた」
    という流れが起こります。

     

    対策としては、
    ・食事の時間と場所をできるだけ固定する
    ・食事の前後に決まった声かけや行動(例:配膳→一緒に座る→歯磨き)を入れる
    といった生活のリズム化が有効です。

     

    「食べる」「終わる」の区切りがはっきりすると、
    “食事が続いている感覚”が残りにくくなります。

    ③ 空腹感への配慮は「量」より「回数」

     

    異食の背景に、
    ・満腹感が伝わりにくい
    ・食べた記憶が抜け落ちる
    といった理由が重なることも少なくありません。

     

    この場合、
    一度の食事量を増やすよりも、
    小分けにして回数を増やすほうがうまくいくことがあります。

     

    「食べた」という感覚が何度も入ることで、
    無意識の空腹感が落ち着くケースもあります。

     

    ただし、体重増加や持病がある場合は、
    必ず医師や管理栄養士と相談しながら調整してください。

    ④ 本人の不安を下げることも“予防”になる

     

    異食は、
    不安・緊張・体調不良が強い日に出やすい傾向があります。

     

    環境音が多い
    照明がまぶしすぎる
    物が散乱している
    ――こうした刺激も、本人にとっては負担です。

     

    ・落ち着ける配置
    ・なじみのある物
    ・介護者の穏やかな声かけ

     

    これらはすべて、
    異食を「減らす」ための大切なケアでもあります。

     

    異食が見られたときほど、
    「注意」ではなく
    「安心できているかな?」
    という視点を持ってみてください。

    🌱 ひと息まとめ|異食は「注意不足」ではありません

    異食は、「危ないからやめさせる」だけでは防ぎきれない症状です。

    食べ物とそうでないものの区別がつきにくくなり、時間や場所の感覚が抜け落ち、 空腹感や不安が重なったときに起こりやすくなります。

    だからこそ大切なのは、叱ることや見張ることではなく、異食が起こりにくい環境を先に整えること。

    手の届く範囲に何があるか、「食事の始まり」と「終わり」が伝わっているか、本人が安心できる空間になっているか。

    完璧でなくて大丈夫です。ひとつ整うだけでも、異食は少しずつ減っていくことがあります。

    第4章|医療や専門職につなぐ目安――ひとりで抱え込まなくていいサイン

    異食への対応は、
    環境を整え、生活リズムを工夫し、
    できる限りの予防を重ねていくことが基本になります。

    それでも、
    家族の工夫だけではどうにもならない場面が、必ずあります。

    異食は、
    「注意が足りないから起こる」ものでも、
    「介護のやり方が間違っているから起こる」ものでもありません。

     

    身体の不調や病状の変化、
    あるいは介護を担う人の限界が、
    行動として表に出ているサインであることも少なくないのです。

     

    医師の立場からお伝えしたいのは、
    「ここから先は、ひとりで抱え込まなくていい」
    という線引きが、確かに存在するということ。

     

    次に挙げるようなサインが見られる場合は、
    生活の工夫だけで何とかしようとせず、
    医療や介護の専門職と一緒に考えることをおすすめします。

    🚨 医療や専門職につなぐべき「危険サイン」チェックリスト

     

    以下のようなサインがひとつでも当てはまる場合は、
    ご家族だけで抱え込まず、医療や介護の専門職に相談するタイミングです。

    🟥 ① 命に関わるリスクがあるものを口にしている

     

    • 洗剤・薬品・アルコール・消毒液などを口に入れた
    • 電池・硬いプラスチック・金属片など、誤嚥や中毒の危険があるものを食べた
    • 何を飲み込んだかわからず、確認できない異食があった

     

    👉 この場合は、迷わず医療機関へ連絡してください。

    🟥 ② 異食の頻度・内容が急に変わった

     

    • これまでなかった異食が、急に始まった
    • 短期間で異食の回数が増えている
    • 食べる物の種類が、より危険なものへ変化している

     

    👉 急な変化は、感染症などの身体不調・薬剤影響が隠れていることがあります。

    🟥 ③ 異食と同時に、他の周辺症状が強まっている

     

    • 不安・興奮・怒り・拒否が明らかに強くなっている
    • 夜間の不穏、昼夜逆転、徘徊などが同時に悪化している
    • 表情が乏しくなる、急に元気がなくなる

     

    👉 行動の変化は、体調や病状のサインであることも少なくありません。

    🟥 ④ 食事量・体重・体調に明らかな影響が出ている

     

    • 本来の食事が進まず、異食が目立つ
    • 体重減少・脱水・便秘・下痢などが続いている
    • 吐き気、腹痛、発熱などの体調変化がある

     

    👉 「異食そのもの」ではなく、身体のSOSとして捉える視点が必要です。

    🟥 ⑤ 介護する側が限界に近づいている

     

    • 常に目を離せず、心身ともに疲弊している
    • 「事故が起きるのでは」と強い不安を抱え続けている
    • イライラや自己嫌悪が強くなってきている

     

    👉 これは介護者の弱さではなく、環境の限界です。
    支援を入れるサインでもあります。

    🌱 医師からのひとこと

     

    異食は、
    「注意すれば止まる行動」ではありません。

     

    安全を守るために、
    生活の工夫+専門家の視点を組み合わせることで、
    はじめて“現実的なケア”になります。

     

    「受診していいのか迷う」
    その時点で、相談してかまいません。

    📝 受診時に伝えるとよいポイント(チェックリスト)

    診察の際、すべて話せなくても大丈夫です。
    当てはまるものにチェックを入れ、気になる点を中心に伝えてください。

    🟦 ① どんな異食が起きていますか?
    • ⬜ 食べたもの・口に入れたものの内容(例:ティッシュ/紙類/植物/洗剤/薬 など)
    • ⬜ 実際に飲み込んだか、口に入れただけか
    • ⬜ 何を口にしたかわからない異食があった
    🟦 ② いつ・どのくらいの頻度で起きていますか?
    • ⬜ いつ頃から始まったか
    • ⬜ 1日に何回くらい起きているか
    • ⬜ 特定の時間帯(夕方・夜・食後など)に多いか
    🟦 ③ 最近、生活や体調に変化はありましたか?
    • ⬜ 発熱・便秘・下痢・痛み・食欲低下がある
    • ⬜ 夜眠れない/昼夜逆転が強くなった
    • ⬜ 不安・興奮・怒り・拒否が目立つようになった
    • ⬜ 転倒・入院・環境の変化(引っ越し、部屋替えなど)があった
    🟦 ④ 食事や体重に影響は出ていますか?
    • ⬜ 食事量が減った/食べたがらない
    • ⬜ 異食が増えて、通常の食事が進まない
    • ⬜ 体重が減ってきている
    • ⬜ 水分摂取が少ないと感じる
    🟦 ⑤ 現在の対応で困っていることは?
    • ⬜ 常に見守りが必要で目を離せない
    • ⬜ 危険な物をどこまで片づければよいかわからない
    • ⬜ 注意すると不穏や拒否が強くなる
    • ⬜ 家族の負担や不安が限界に近い
    🟦 ⑥ 現在使っているお薬について
    • ⬜ 最近、薬が追加・変更された
    • ⬜ 飲み忘れ・飲み過ぎ・自己判断で中断したことがある
    • ⬜ 薬の影響が心配だと感じている
    ※ お薬手帳があれば、必ず持参しましょう。
    🌱 「医療につなぐ=悪化」ではありません

    異食が見られたときに受診することは、
    「状態がひどくなったから」ではなく、
    今の困りごとを、早めに一緒に整理するための選択です。

    体調の変化や薬の影響、環境との相性など、
    家庭だけでは見えにくい要因が隠れていることもあります。

    早めにつなぐことで、
    ・危険を減らせる
    ・対応がシンプルになる
    ・介護者の負担が軽くなる
    ということも少なくありません。

    「相談していい段階か迷う」ときこそ、
    相談してよいタイミングです。

    ここまで、
    異食が起こる理由や、家庭でできる工夫、
    そして医療につなぐ目安についてお伝えしてきました。

     

    たくさんの情報を見て、
    「ちゃんとできていないかもしれない」
    「もっと気をつけなければいけないのでは」
    そんな気持ちがよぎった方もいるかもしれません。

     

    でも、異食は
    誰かの対応が足りなかったから起こるものではありません。


    認知症という病気の中で、
    本人なりに世界を理解しようとする過程で起こる、ひとつの“サイン”です。

     

    最後にもう一度、
    このテーマのいちばん大切な視点を、
    お伝えしたいと思います。

    🌱 最終まとめ|異食は「注意すべき行動」ではなく、理解を必要とするサイン

    認知症の異食は、
    「困った行動」でも
    「わざとやっていること」でもありません。

     

    食べ物とそうでないものの区別がつきにくくなったり、
    今が食事の時間なのか、どこで何をしているのかという
    状況のつながりが抜け落ちてしまった結果として起こることが多い症状です。

     

    そこに
    ・空腹感が伝わりにくい
    ・不安や緊張が強い
    ・体調や環境の影響が重なる
    と、異食はより起こりやすくなります。

     

    だからこそ大切なのは、
    「やめさせること」や「注意すること」ではなく、
    起こりやすい条件を減らし、安心できる環境を整えることです。

     

    すべてを完璧に防ぐことはできません。


    それでも、
    ・手に届く範囲を少し見直す
    ・食事の文脈をわかりやすくする
    ・不安や疲れが強くなっていないか気にかける
    こうした小さな積み重ねが、
    異食の頻度や危険性を下げることにつながります。

     

    また、
    「これ以上は家庭だけでは難しいかもしれない」
    そう感じたときに医療や専門職につなぐことは、
    決して悪化を意味するものではありません。

     

    本人を守るためであり、介護する人自身を守るための選択です。

     

    異食が見られる日があっても、
    それは誰かのせいではありません。
    うまくいかない日があるのも自然なことです。

     

    この症状の背景にある「理解のむずかしさ」と「不安」に目を向けながら、
    できるところから、できる形で関わっていく。


    それで十分です。

     

    この文章が、
    今、異食に悩んでいる方の
    判断の支えや、気持ちのクッションになれば幸いです。

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