がん経験者必見!肥満が二次がんを呼ぶ仕組みと対策
2024/12/07
目次
がん経験者必見!肥満が二次がんを呼ぶ仕組みと対策
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
先日届いたMedical Tribuneで「肥満で二次がんリスクが12~34%上昇」
という記事を見かけました。
参考)Excess Body Weight and the Risk of Second Primary Cancers Among Cancer Survivors
けっこう衝撃的な数字ですよね。
やっと癌を乗り越えたと思ったのに。。。
というわけで、今回は肥満によっておきる二次がんについてお伝えしていきたいと思います。
しくみを理解して、対策していきましょう。
肥満が二次がんを引き起こす仕組み
二次がんとは?
化学療法や放射線による正常細胞の傷害のために、
治療を終えた数年から数十年後にもとの病気とは別の種類のがんを生じることです。
なぜ肥満が癌の発症リスクを高めるのか
肥満がなぜ癌の発症リスクを高めるのかについては、いくつかの説があります。
その一つが、栄養過多になることで免疫力が下がり、がん細胞への抵抗力が弱まること。
私たちの身体は常にがん細胞を生み出しているのですが、
免疫が正常に働いていると、がん細胞は異物として認識され、排除されています。
ところが、肥満になると外敵を殺すはずのT細胞が変質してしまうということがいわれています。
参考)https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20170207_01/index.html
それ以外にも、肥満によって血糖値があがることが癌の発症リスクを高めることが指摘されています。
肥満があると血液中のブドウ糖が肝臓や骨格筋、脂肪細胞に取り込まれにくくなります。
そのため、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなりやすいことがわかっています。
慢性的に血糖値が高い状態が続くと、
男性ホルモン(アンドロゲン)や女性ホルモン(エストロゲン)が増加しやすくなり、
それががん化につながると推測されています。
肥満と関連があるとされている癌
国際がん研究機関(IARC)によると、肥満と関連するとされている癌は14種類。
- 食道腺がん
- 胃噴門部がん(胃の上部に発生するがん)
- 大腸がん
- 肝臓がん
- 胆のうがん
- 膵臓がん
- 乳がん(閉経後の女性)
- 子宮内膜がん
- 卵巣がん
- 腎臓がん
- 甲状腺がん
- 髄膜腫(脳を覆う膜に発生する腫瘍)
- 多発性骨髄腫(骨髄のがん)
- 前立腺がん
です。
治療後に肥満が増える原因:がんサバイバーが抱えるリアルな課題
がん治療を乗り越えた後、「体重が増えてしまった」という悩みを抱えるサバイバーの方は少なくありません。
これは決して「怠けている」わけではなく、治療後の身体や心の変化に起因する自然な現象です。
治療による身体への影響
治療は身体に大きな負担をかけます。
その結果、基礎代謝が低下し、以前と同じ食生活をしていても体重が増えやすくなります。
特に以下のような治療の影響が考えられます:
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ホルモン療法やステロイド療法
一部の治療ではホルモンバランスが変化し、脂肪が蓄積しやすくなることがあります。
特に乳がんや前立腺がんの治療を受けた方に多く見られる問題です。
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筋肉量の減少
化学療法や放射線治療の影響で筋肉が減り、基礎代謝が低下することがあります。
これにより、エネルギーの消費量が減少してしまいます。
運動不足による影響
治療中や治療後は、体力が落ちるために活動量が大幅に減ります。
また、痛みや倦怠感が長期間続くこともあり、動くこと自体が難しく感じることもあるでしょう。
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「体を休めることが最優先」になる
がん治療中は体力の温存が最優先になります。
治療が終わっても、「しっかり休むことが大事」という意識が抜けず、
活動を控え続けてしまうケースも少なくありません。
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習慣の変化が難しい
治療が長期化すると、休む生活スタイルが定着し、
以前のようなアクティブな生活に戻ることが心理的にも身体的にも負担に感じられることがあります。
心の影響とストレスとの戦い
治療後は、安心感とともにさまざまな不安やストレスが押し寄せる時期でもあります。
この心の状態が体重増加に影響することも少なくありません。
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ストレスによる過食
がん治療が終わった後も、「再発の不安」や「社会復帰へのプレッシャー」を抱える方は多いです。
これがストレスを引き起こし、食べることで心を満たそうとする場合があります。
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食生活の変化
「治療が終わった」という安心感から、以前控えていた食品や高カロリーなものを摂取する機会が増えることがあります。
また、ストレスや疲れから簡単に手に入る加工食品に頼るケースも増えがちです。
周囲からの影響
治療が終わると、周囲から「もっと食べて元気になってほしい」と勧められることがあります。
この意図は善意ですが、結果的に食べ過ぎやカロリー過多につながることもあります。
- 励ましがプレッシャーになることも
「もっと太らないと元気そうに見えない」と言われると、自分でも気づかないうちに食べ過ぎてしまう場合があります。
二次がん予防のために:無理なくできる一歩ずつの取り組み
がん治療を乗り越えたあなたは、もうすでに大きな壁を乗り越えてきたはずです。
その中で、次に考えるべきは「健康を維持し、安心して毎日を過ごすこと」。
特に二次がんの予防は、少しの工夫で大きな効果を生むことができます。
健康的な体重管理
治療後の体重増加が気になる方も多いと思います。
しかし、「すぐに痩せなければ」と無理なダイエットをする必要はありません。
重要なのは、長い目で見て健康的な体重に近づくことです。
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取り組みやすい習慣
- 1日1回、食事の前にコップ1杯の水を飲む。これだけで満腹感が増し、自然に食事量を抑えられます。
- 夜遅い食事を避け、夕食はできるだけ軽めに。
- 食事を意識するのが難しいときは「今日は野菜を一品多く」といった小さな目標から始めてみましょう。
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気をつけたいポイント
体重計を毎日見るとストレスになる方もいます。数字に縛られず、鏡で自分の姿を確認したり、着ている服のフィット感をチェックする方法も効果的です。
運動習慣を取り入れる
「運動しなきゃ」と思うとプレッシャーになりがちですが、ここで重要なのは「楽しく動くこと」。
特別な運動を始めなくても、日常生活の中で自然に体を動かすことが二次がんの予防につながります。
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小さく始めるアイデア
- エレベーターの代わりに階段を使う。
- テレビを見ながら足踏みやストレッチ。
- 家の中でこまめに動くことも立派な運動です。「5分間、掃除をしてみる」だけでも体は活発になります。
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おすすめの活動
- ウォーキング:散歩から始めて、少しずつ距離を延ばしましょう。自然の中での散歩はリラックス効果もあります。
- ヨガやストレッチ:治療後の身体の硬さをほぐすだけでなく、気持ちを穏やかにする効果も期待できます。
食生活の改善
食事は体を作る基本ですが、厳しい制限をするのではなく、楽しく、少しずつ変えることがポイントです。
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できることから始める
- 毎食、野菜や果物を1品増やしてみる。色とりどりの食材を揃えるだけで、栄養バランスが良くなります。
- 加工食品や甘い飲み物を少し減らして、水やお茶を選ぶ機会を増やしてみる。
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心を満たす食事を意識
食べることは体だけでなく心も満たします。味わいながらゆっくり食事を楽しむことで、心の健康にもつながります。
ストレス管理とメンタルケア
治療を終えても、不安やストレスはゼロにはなりません。
でも、それを「なくそう」とするのではなく、うまく付き合う方法を探すことが大切です。
- おすすめの方法
- 深呼吸や瞑想を取り入れる。1日5分間だけでも、心がスッと軽くなります。
- 趣味の時間を確保する。読書や手芸、音楽を聴くなど、心が安らぐことを優先しましょう。
- 心が重いと感じたときは、無理に抱え込まず、誰かに話してみる。カウンセラーや信頼できる友人が力になってくれるはずです。
がんサバイバーさんへ
がん治療後に体重が増えることは、誰にでも起こりうる自然な反応です。
「どうして自分だけ…」と思わないでください。
そして、その増加はあなたが怠けているからではありません。
それは、治療や身体、心の変化に対する正常な反応なのです。
まずは自分を責めずに、「今からどうしたらいいか」を考えることが大切です。
少しずつでも、生活習慣を改善し、体重管理を通じて健康な未来に近づけるよう、一緒に考えていきましょう。
どの方法も、「完璧にやらなきゃ」と思う必要はありません。
一歩ずつ、小さな行動から始めることで、健康への道が自然と広がります。
がんを乗り越えたあなたには、その強さがあります。
そして、その一歩は決して一人ではなく、多くの人が支え合いながら歩んでいるものです。
「自分にできることから始めよう」――それだけで、きっと未来の自分が「ありがとう」と笑ってくれるはずです。
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