地震、雷、火事、親父?
2024/09/28
地震、雷、火事、親父?
こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。
雨が降ったら気持ちが沈んだり、
晴れた爽やかな日はウキウキした気持ちになったりと
天候と気持ちは密接に関係しています。
今回は、昔から言われている「地震、雷、火事、親父」について、別の視点からみていきましょう。
「地震、雷、火事、親父」の「親父」には、実は「その昔、台風などの際に吹く強い風を大山風(おおやまじ)と言っていたものが変じて「おやじ」になった」という説があります。
それだけ、昔は自然に脅威を抱いていたのだと思います。
雷や嵐などの激しい天候などは不安感をかきたてるともいわれています。
実際、小さいころ雷⚡️が怖かったという方もいるのではないでしょうか?
小さいころということは、それらがもたらす自然災害に対する不安というより、本能的に持っている不安なのではないかと推察します。
では、なぜ激しい天候に不安を掻き立てられるのでしょう。
生理的反応と本能的恐怖
雷や嵐の大きな音や急激な光は、私たちの脳が「危険」と認識しやすい刺激です。
雷鳴の大きな音や突然の光(稲妻)は、自然の中でも「危機的状況」を意味することが多く、脳の中の扁桃体という部分が反応して不安感を引き起こします。
この反応は私たちの「本能的な恐怖」に基づくもので、自己防衛のために体が自然と警戒モードに入ります。
雷の音が急に鳴ったり、嵐が激しくなると心拍数が上がり、筋肉が緊張し、アドレナリンが分泌されることで「闘争か逃走か」の反応が活性化されます。
この反応は進化的に見れば有効であった一方、現代社会では必要以上に不安を感じさせる原因にもなっています。
トリガーとしての雷鳴
雷鳴や嵐の音が不安を引き起こす理由の一つは、その予測不可能性です。
突然鳴り響く大きな音や、風や雨の激しさは、予測できないためにコントロールができない状況として脳が認識し、無意識のうちに不安を誘発します。
特に過去に強い雷や嵐によって怖い体験をした人は、その体験が「トリガー」となり、雷や嵐が来るたびに不安感が蘇ることがあります。
気圧と心の関係
嵐が近づくと、気圧が急激に低下します。
この気圧の低下は、体に直接的な影響を及ぼし、頭痛や体のだるさなどを感じやすくなるだけでなく、精神面にも影響を与えます。
気圧が低くなると、脳内の神経伝達物質であるセロトニンのバランスが崩れ、気分が落ち込みやすくなります。このような状態で嵐が来ると、不安感やストレスが一層強くなります。
嵐や雷がもたらす孤独感
嵐や雷が激しくなると、外に出ることが難しくなり、人々が家にこもるようになります。
この「閉じ込められた感覚」が、孤立感や孤独感を引き起こし、それが不安感を増幅させることがあります。
特に一人で家にいる場合、雷の音や嵐の轟音が孤独感を強くし、恐怖や不安をさらに感じやすくなります。
「気象恐怖症」としての症状
雷や嵐に対して極度の恐怖を感じる人は「気象恐怖症」(brontophobia, astraphobia)と呼ばれる症状を持っている可能性があります。
この恐怖症を持つ人は、雷や嵐が予想される天候になると、強い不安感やパニック発作を経験することがあります。
症状は、心拍数の上昇、過呼吸、冷や汗、震えなどが典型的です。
この恐怖症は幼少期に始まることが多いですが、大人になっても持続する場合があります。
ペットや子どもへの影響
人間だけでなく、ペットや小さな子どもも雷や嵐に対して強い恐怖を感じやすいです。
動物も本能的に危機を感じるため、犬や猫は雷の音に非常に敏感で、隠れたり震えたりすることがよくあります。
また、幼い子どもは雷の音や嵐の強風に対して恐怖を感じることが多く、大人が不安な気持ちを抑え、安心感を与えることが重要です。
対処法: 環境を整える
不安やストレスを軽減するためには、自分が安心してリラックスできる環境を作ることが大切です。
雷や嵐が来ると予想される場合、あらかじめ次のような準備をしておくとよいでしょう。
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照明の工夫: 強い光や暗闇は不安感を増幅することがあります。
柔らかな照明を使って落ち着ける雰囲気を作ることで不安が軽くなることがあります。
たとえば、間接照明やキャンドルなどの温かい光には、リラックスを促す効果があるといわれていますので、それらを利用するというのも一つの方法です。
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音楽やホワイトノイズ: 雷や嵐の激しい音は不安のトリガーとなりやすいとされています。
穏やかな音楽やホワイトノイズを流して、嵐の音をかき消すのも有効です。
たとえば、自然の音(波の音や雨の音)やリラックス効果のある音楽などは、心が安定しやすくなります。
ちなみに、ホワイトノイズというのは、波や雨、風の音などのようにすべての周波数が均等に含まれている音のことで、一般的に「背景音」や「環境音」として使われ、一定の音が続くため、他の雑音をかき消す効果があります。
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安全な場所を選ぶ: 雷や嵐による危険を回避するため、家の中の安全な場所をあらかじめ把握しておくと、実際の嵐が来たときに安心感が生まれます。
窓から離れた部屋や地下室など、安全な場所に避難することで不安が軽くなることが期待できます。
対処法:深呼吸とリラクゼーション法
嵐や雷に対する不安感は、身体的な緊張と密接に関係しています。
呼吸法やリラクゼーションテクニックを活用することで、心身のリラックスを促し、過剰なストレス反応を抑えることができます。
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深呼吸法(腹式呼吸): 不安や緊張を感じたときは、深くゆっくりと呼吸をすることが有効です。
腹式呼吸は、呼吸を腹部まで深く取り込み、息を吐くときにゆっくりと体から緊張を解き放つように意識します。これにより、副交感神経が活性化され、心拍数が落ち着き、リラックス状態に入ることができます。
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プログレッシブ筋弛緩法: これは、体の各部位の筋肉を一度緊張させてから、ゆっくりと弛緩させるテクニックです。
まず手や足の筋肉を緊張させ、数秒間維持してから解放することで、筋肉の緊張を解くと同時に、精神的な緊張も和らげることができます。
雷や嵐の音で緊張しているときに、この方法を使うと効果的です。
対処法:気を逸らすアクティビティを行う
雷や嵐に対する不安が強いときは、別のアクティビティに集中することで注意をそらすというのもよいかもしれません。不安感にフォーカスする代わりに、興味のある活動を行うことで、気持ちを軽くすることができます。
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読書や映画鑑賞: 自分が楽しめる本や映画に没頭することで、雷や嵐を一時的に忘れさせる効果があります。特に、心を落ち着けるジャンルの作品を選ぶと良いでしょう。
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アートやクラフト: 手を使って何かを作ることは、不安を和らげる効果があります。
たとえば、塗り絵や編み物、絵を描くなど、クリエイティブな活動に集中すると、気分が前向きになりやすくなります。
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ストレッチやヨガ: 軽い運動は、体内の緊張を和らげ、エンドルフィンを分泌させることで、不安感を軽減する効果があります。
自宅で簡単にできるストレッチやヨガのポーズを取り入れて、身体をほぐすのも効果的です。
ちなみに、エンドルフィンというのは、「感謝の脳内物質」と呼ばれており、ドーパミンの幸福感を10~20倍にも増強する効果があると考えられています。
対処法:ポジティブな視点を持つ
雷や嵐は、やがて終わるものであり、その後の爽やかな空気や青空を想像することで、ポジティブな視点を持つことができます。
不安に対してネガティブな感情を持つ代わりに、自然の美しさやリズムを受け入れる心構えを意識すると、不安感が軽減されやすくなります。
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嵐の後のリフレッシュ感をイメージ: 嵐が去った後、空気が一新され、空が晴れ渡る瞬間を思い描くことで、嵐の終わりに焦点を当て、ネガティブな感情を和らげることができます。
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マインドフルネスの実践: 今この瞬間に集中するマインドフルネスの練習は、不安感を減少させる効果があります。
雷の音や嵐の轟音をあえて観察し、その音に対する自分の体の反応を冷静に見つめることで、不安を客観視しやすくなります。
対処法:仲間やサポートを求める
雷や嵐が怖いと感じるとき、一人で不安に立ち向かうのは難しいことがあります。
家族や友人に話を聞いてもらったり、一緒に過ごすことで、安心感が生まれます。
また、オンラインのサポートグループやカウンセラーに相談するのも有効です。
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人と一緒に過ごす: 雷や嵐の中で不安感が高まる場合、信頼できる家族や友人といっしょに過ごすことで自分が一人ではないことへの安心感から不安が和らぐことが期待できます。
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ペットとの時間を過ごす: ペットも雷を怖がることがありますが、逆にいっしょに過ごすことでお互いに安心感を得ることができます。
ペットとの触れ合いは、心を落ち着け、癒しを提供する効果があります。
これらの対処法を活用することで、雷や嵐が来ても過度な不安に悩まされることなく、心身を落ち着けて過ごすことができるようになるかもしれません。
それでも不安が解消されないときは、当院の感情カウンセリングをご利用ください。
ヘテロクリニックは、自分の身体を自分で守るお手伝いをしています。
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