幼少期のストレスが大人になって過敏な腸になる?②

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幼少期のストレスが大人になって過敏な腸になる?②

2020/08/27

幼少期のストレスが大人になって過敏な腸になる?②

 

幼少期のストレスが腸を敏感にさせる理由についてお話します。

 

そもそも家庭環境で抑圧されて育った子供はのちに精神疾患を引き起こしやすい傾向があると言われてきました。

虐待はもちろん、両親の離婚や不和、いじめを体験した子供は大人になってから不安障害や抑うつになりやすくなります。

実際に幼少期のストレス経験が子供の脳に永続的な悪影響を及ぼすという科学的な証拠も見られます。

最近では、その種の脳の変化がIBS(過敏性腸症候群)のような腹部症状の発症にも影響すると考えられ始めています。

 

●ポール・ブロツキーの実験①幼少期の母親との体験が子の性格、性質を変化させる

 

まず、幼少期の体験が大人になって不安を増大させたエモリー大学の神経学者ポール・プロツキーの行った実験を紹介します。

実験室で育てられたラットを用いた実験です。遺伝子学的に同一のラットであっても、養育が得意なラットと養育が苦手なラットがいます。

養育が得意なラットは、子供をよく舐めて毛繕いをしたり、子がしっかりと母乳を飲めるように促す体勢を取ったりします。

一方養育が苦手なラットは基本的に子を放置して、毛繕いをしなかったり、母乳を自分から積極的に与えようとしません。

 

この養育にたけたラットの子供と養育をしなかったラットの子供をそれぞれ観察し、成長してからの行動変化を見ました。

大切に育てられたラットはストレスに動じないリラックスした成獣になり、社交的であったり、未知の場所に積極的に探索すると言った行動が見られました。

しかし、養育をされなかったラットは不安や抑うつ行動を示し、臆病で引きこもりがち、孤独を好みました。

 

母親の養育の違いにより、成長後の行動や性格が変化していました。

 

さらにこの成長した両方のラットを数分間拘束することでストレスをかけました。その後ラットのストレスホルモンであるコルチコステロンの数値を測定しました。

健全に養育されたラットはコルチコステロンの数値が低く、ストレス反応を抑える抑制ホルモンもみられていました。

しかし、養育されていなかったラットは脳の視床下部にあるストレスホルモンの元となる物質やコルチコステロンの分泌量が多くみられました。

またGABAとそのレセプターを含む神経回路などストレスをコントロールするシステムが低下していました。

養育されていたラットよりも、よりストレスを感じやすくなるように体が変化していました。

 

また母親自身がストレスが強くなるほど子の養育ができなくなることがわかりました。

もともと養育が得意なラットの母親に一定時間騒音レベルの音を聴かせ続けるというストレスをかけました。すると養育にかける時間が徐々に少なくなりました。

子の毛繕いをしなくなり子を無視する行動が見られ始め、さらには子供を食べる個体まで現れました。

 

母親のストレスが子の養育する行動を阻害し、結果的に子のストレスに繋がっていると考えられます。

 

●ポール・プロツキーの実験②子供時代にストレスがかかると腸が過敏になる実験

 

またプロツキーは次のような実験も行っています。

生後間もないラットの赤ちゃんを、数週間にわたり1日3時間、母親から引き離しました。するとラットの赤ちゃんはのちにIBS様の腹部症状を起こすことがわかりました。

また、先ほどの子供の頃に母親から十分な養育を受けなかったラットにも大人になって不安や抑うつの行動を起こすだけでなく、IBS様の症状を起こす個体が見られました。

子供時代のストレス経験が腸を過敏にさせているのです。

 

人はストレスを感じると、脳の視床下部からCRFを分泌させます。このCRFはあらゆる臓器に働きかけ緊張状態やストレスモードにします。

コルチゾールやエピネフリンなどのストレスホルモンの増大を起こし、一定レベルを超えると腸で収縮回数を増やし内容物を排泄しようとしたり、腸壁の透過性を変化させ免疫反応を起きやすくします。

これによって下痢をします。

 

下痢をすると腸内細菌の数は激減します。特に乳酸菌などの人にとって良性の菌が減少します。加えてクロストリジウム属などの病原菌となる菌が優位になることがあります。

またストレスによって分泌されたノルエピネフリンの作用によってこれらの病原菌は攻撃性を増します。これらの病原菌を排除するため免疫系が働き、さらに下痢症状が起きやすくなります。

 

ここまでの話では母親のストレスと子供の幼少期の体験(ストレス)がいかに重要かがわかるかと思います。

しかし、もちろんラットと人は全く違います。人間のお母さんがストレスを感じたからと言って子供を育てないわけではありません。

ほとんどの母親はきちんと子供を育てています。

出産後、生活が変化し対応に追われ、うまく行かないことにイライラすることも当然あるでしょう。

ですからストレスを感じることは自然なことです。

むしろ人の場合はイライラしている自分を責めたり、完璧を目指すことによってさらに自分で自分にストレスをかけていることが問題なのです。

お母さんの感情を赤ちゃんは敏感に察知します。

お母さんが悲しんでいることは自分のせいではないかと感じます。

お母さんが無理をして苦しむことは自分のせいではないかと感じます。

なぜそんなことを感じるのか、これはバーストラウマ、インナーチャイルドが関わります。

この仕組みについては今回割愛します。また別の機会にお話しするか、興味のある方は直接私にお会いした時に聞いてください。

大切なのはイライラしている自分を責めるのではなく、自分はよくやっていると認めることです。

自分が大変な状況の中これだけよくやれていると自分で自分のことを認めることが改善の第一歩です。

 

人の場合は母親がストレスに対応しようと無理をし、母親が自分を責めるほどストレスが増大し、結果的に子供に影響します。

 

もし、子育てでイライラすることがあれば、感情カウンセリングを受けてみることも改善の手段かもしれません。

人にはなかなか話せない悩み、特に親族や友人、親しい人ほど自分が思っていることを話しにくいこともあるでしょう。

実際に家族からこうあるべきと言われたり、自分にできないことを責められて辛いと感じることもあるでしょう。

感情カウンセリングでは、ストレスのもととなる、自分を責める気持ちを改善したり、

自分が今の自分でも大丈夫だという自信につながることができます。

お母さんが安心すれば、赤ちゃんも安心してのびのびを成長できます。

 

 

ところで話は戻りますが、では今まさにIBSの症状で悩まされている人はどうしたらいいのでしょうか?今から子供時代に戻ることができません。

IBSの方の改善策については一番最後にお話します。

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