感情カウンセリングを癌の患者様の家族にもお勧めしたい理由 その5
2020/02/15
感情カウンセリングを癌の患者様の家族にもお勧めしたい理由 その4で、ご家族が抱えている不安が患者さまに伝わるメカニズムについて、嗅覚の観点からお伝えしました。
実は、脳波の実験からも癌の患者さまにとって近くにいる人の状態が大切であることを示唆する結果が得られています。
私たちの脳は、いっしょにいる人の影響を受けています。
dual fMRIという2人同時に脳機能を調べることができる装置を使って行った実験があります。
お互いに見つめ合い、一方が目配せをして、自分が注意を向けている場所を相手に伝えます。
そして、二人が同じ場所に目線(注意)を向ける時の脳活動をリアルタイムで記録しました。
すると、同じ場所に注意を向けた時、脳の右前頭前野という場所の活動に同調がみられたのです。
つまりは、いっしょにいる相手と同じところに注意を向けたら、同じような脳の状態になったということです。
このメカニズムを考えると「朱にまじわれば赤くなる」ということわざにも真実味を感じます。
昔の人は、そういうことを肌で感じとっていたのかもしれません。
癌の患者さまご自身は、リラックスしたほうがいいとか前向きになったほうがあいとか頭では分かっていても、辛い状況の中にあっては難しいことも多いでしょう。
自分自身と向き合い、心の状態を整えようという状態になるまでには、ある程度の時間が必要かもしれません。
その間、周りの人たちがどういう状態でいるのかは、案外、重要な気がします。
まずは、ご自身の心の状態を整えること、それが癌の患者さまを支えることに繋がっていきます。